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〈試読レビュー〉角川スニーカー文庫新作「6番線に春は来る。そして今日、君はいなくなる。」!!

角川スニーカー文庫の新作「6番線に春は来る。そして今日、君はいなくなる。」について試読レビュー!

6番線に春は来る。そして今日、君はいなくなる。って?

6番線に春は来る。そして今日、君はいなくなる。 (角川スニーカー文庫)

著者:大澤めぐみ

イラスト:もりちか

『おにぎりスタッバー』の鬼才による、渾身の青春群像。

やりたいことが見つからず、漠然と都会を夢見る優等生の香衣。サッカー部のエースで香衣の彼氏のはずの隆生。香衣に一目惚れする学内唯一の不良・龍輝。ある秘密を隠すため、香衣の親友を演じるセリカ4人が互いに抱く、劣等感。憧れ。恋心。後悔。あの駅で思いはすれ違い、一度きりの高校生活はとどまることなく進んでいく。「どうしてすべて手遅れになってからでないと、一番大事なことも言えないんだろう」これは、交錯する別れの物語

登場人物たちが真情を独白する青春群像作品

カクヨムでの試読部分は、主人公である郷津香衣の独白。高校における数少ない友人のうちの一人、峯村セリカとの交友関係について語られています。

セリカはオシャレで都会的で綺麗な女の子。誰とでもすぐ親しく話せてしまうタイプで、入学直後に香衣と話してから約半年間、二人は少なくない時間を共有してきています。しかし、香衣はまだセリカの電話番号を教えてもらえず、放課後も一緒に行動したことがない様子。”学校にいる間のみ”一緒に行動する友人関係となっています。

プロローグからの数ページですが、モノローグにより香衣の大まかな人物像が理解できる内容となっていました。セリカが微妙な友人関係を続けている理由は、”ある秘密を隠すため”とあらすじに書かれていますが、どのような秘密なのか気になります。

キャラクターの真情の独白のような文章は迫力があり、展開的にも続きが気になる仕掛けがされていて読者を引き込む冒頭部分だと感じました。

四人が互いに抱く感情とは?

本作は香衣、隆生、龍輝、セリカの四人の群像青春作品です。あらすじでは、劣等感、憧れ、恋心、後悔という四つの感情が書かれていますが、どの感情がどの関係に当てはまるのか、想像しながら読んでいくと楽しそうです。

群像作品の見所は、”複数の視点で語られてた物語が、最後にどのように収束するか”だと思います。バラバラのピースが、クライマックスに向けて次々と嵌っていくような展開だと、読者側も非常に爽快感を得ることが出来ます。

本作の場合だと、香衣たち四人のモノローグ中に描かれる”お互いの感情”が、クライマックスに向けてどのように繋がり合い、収束していくのかが見所になるかと思います。

全ての鍵を握るのは”ストーリー”

「6番線に春は来る。そして今日、君はいなくなる。」は、普通の都会の高校生活の中の、普通の高校生四人の群像作品。舞台・設定とキャラクターが普通であることから、本作が魅力的な作品たり得るには”ストーリー”が最も重要になってくるかと思います。

群像作品という形式的にも、読者に一気に読ませてしまうような展開が好ましいため、ストーリー構成を考えるのはとても難易度が高い印象。ライトノベルというジャンルの中では珍しい、かなりストイックな作品のように感じます。

どのようなストーリーになっているのか、非常に楽しみな作品です。

 

今回は、角川スニーカー文庫の新作「6番線に春は来る。そして今日、君はいなくなる。」についての試読レビューを書かせていただきました。試し読みはカクヨムに掲載されていますので、興味がある方は是非お読みになってください。

富士見ファンタジア文庫「山本五十子の決断」の魅力をご紹介!!

富士見ファンタジア文庫新作「山本五十子の決断」!

ネタバレなしで魅力をご紹介します。

山本五十子の決断って?

山本五十子の決断 (ファンタジア文庫)

著者:如月真弘

イラスト:珈琲猫

戦火を生き抜く海軍乙女たちの、敗北の運命を覆せ!

修学旅行中、源葉洋平第2次大戦に酷似した世界に飛ばされた。そこで彼を助けたのは伝説の名将・山本五十六……ではなく、山本五十子と名乗る女の子!?

現代高校生が軍事・歴史知識で、彼女の運命を変える!

戦争の過酷さと萌えのギャップ

本作の舞台では、男性は全年齢、女性は20歳以上で海に入るとラ・メール症状を起こしてしまいます。ラ・メール症状とは、海に入ると5分以内に意識を失って溺死するというもの。その為、海軍は20歳以下の女性で構成されています。

更に、本作では第二次世界大戦時の日本海軍を土台に、有名な海軍軍人が美少女化して描かれており、連合艦隊司令長官山本五十六はもちろん、参謀長の宇垣纒、首席参謀の黒島亀人、戦務参謀の渡辺安次も少女の姿で登場します。

日常生活パートの海軍美少女たちの萌えシーンと、戦争時の過酷なシーンのギャップが、読んでいて最も印象に残りました。萌えシーンでキャラクターへの好感度を個々に上げつつ、戦争・軍略シーンをシリアスに描くことで、より後者のシーンに緊張感が生まれている印象です。

記号的ではない美少女軍人たち

美少女キャラが多数出てくる作品は、テンプレ属性をそれぞれ与えられた”記号的な”キャラクターになっていることが多々あります。しかし、本作の場合はそれぞれの内面部分についても踏み込んで描写されているため、より”人間的な”キャラクターのように感じました。

萌えパートでは甘党でまとめ役の女の子に、”実は戦争で非道な作戦を行っていることに自己嫌悪を覚えている”など「影の部分」の描写が添えられることで、よりリアリティを演出できていると思います。

ただ、少しラッキースケベ描写が多かったのが残念でした。商業的・ジャンル的に入れなければならないシーンで、物語の重さを軽減させる効果もあり多少は良いと思いますが、個人的には話の腰を折ってしまうので苦手です。

ミッドウェーまで描いてこそ成立する物語

少しネタバレになりますが、次巻以降で描かれるミッドウェー海戦を最高に盛り上げるため、本作1巻は土台となる世界観を中心に描かれています

世界情勢の説明とキャラクターたちの関係性の描写などが中心で、戦争自体は大きく進まない展開。もちろん1巻だけでも起承転結はあり、作品として成立してはいるのですが、クライマックスであるミッドウェー海戦が話題の中心にあるため、読者的にはどうしても気になってしまいます。

続巻まで読まないと、本作の”本当の評価”は出来なさそうですので、是非続きを刊行していただけると嬉しく思います。

 

以上、ネタバレなしで本作の魅力をご紹介しました。

今回も長文をお読みいただきましてありがとうございます。

試読レビューリンク

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〈試読レビュー〉「戦闘員、派遣します!」4話!!

11月1日に角川スニーカー文庫から発売予定の「戦闘員、派遣します!」!

「このすば」シリーズの暁なつめ先生による新シリーズです!!

※3話のレビューは以下になります。

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戦闘員派遣しますって?

戦闘員、派遣します! (角川スニーカー文庫)

秘密結社キサラギの世界征服は目前に迫り、主人公・戦闘員六号は贅沢な余生を想像していたのだが……上司A「次、異世界派遣だよ」→六号「うそん?」――不遇キャラたちが織りなす、異世界侵略バトルコメディ!!

4話内容ダイジェスト

初陣の後、何度か出撃命令を受けては小競り合いをし、近年稀に見る勝利を収める六号たち。出撃の合間の休日、六号は”誰も自分のことを好きになってくれる気配がない”ことについて思い悩みます。アリスに正気を疑われて医務室に連れて行かれそうになりますが、六号は断固拒否。二人でドタバタしていると、スノウが部屋を訪れます。

スノウによると、勇者一行がダスターの塔の最上階を守る魔物、力のギルと知のリスタに敗れたとのこと。塔には魔王の城を攻略する為の秘宝が保管されており、勇者に代わって、国家総動員で秘宝を奪い取る方針となります。六号は塔の一階で火を起こし、魔物を煙でいぶす作戦を立案。騎士たちは六号の提案について検討しますが、結局正攻法で攻めることとなりました。

全部隊がダスターの塔の攻略を開始する中、六号たちの部隊はノンビリくつろいで機を待ちます。数時間経過し、騎士たちの何人かは最上階に辿り着いているものの、待ち構えていたボスたちに瞬殺されている様子。状況をスノウから確認した六号は、外壁をよじ登って最上階を目指す作戦を実行します。

途中でバテたスノウを背負いつつ、六号はこっそりと最上階へ侵入。ほふく前進で二人の魔物に接近し、知のリスタを塔から突き落とすことに成功。螺旋階段にしがみついている知のリスタを庇ったため、力のギルは六号たちによって袋叩きにされます。更に、何とか最上階に舞い戻った知のリスタ対し、六号は瀕死の力のギルを人質に身代金を要求。見事悪行ポイントが加算されます。

ダスターの塔の攻略に大きく貢献した六号に、日本円で数百万円相当の金貨が報酬として支給されました。秘密結社キサラギでは手取り十八万程度の六号は、真剣にこの国に骨を埋めるか迷います。

カクヨム「戦闘員、派遣します!」リンク

kakuyomu.jp

ファンタジー作品のアンチテーゼ的主人公

今回は六号たちの舞台が、ダスターの塔というダンジョンへ挑むエピソード。通常のファンタジーであれば塔内部の螺旋階段を上り、待ち構えるボスを倒して秘宝を手に入れるところを、本作では”悪の秘密結社”的に攻略しています。

塔の外壁を上ってボスの背後へ回り、不意打ちからの袋叩き、最終的には人質を取って身代金を要求するという、清々しいほど”悪の戦闘員”っぷりを見せていただきました。ファンタジーのセオリーに対し、悪の戦闘員である主人公がアンチテーゼとして機能しているため、ストーリーが斬新で非常に楽しく読むことが出来ます。

この素晴らしい世界に祝福を!」のカズマもそうですが、暁なつめ先生はファンタジーに対してのアンチテーゼを体現する主人公を使って、痛快なストーリーを書き上げるのが非常に巧いと感じました。

 

以上、今回も長文をお読みいただきましてありがとうございます。

MF文庫J「ようこそ実力至上主義の教室へ」レビュー記事まとめ!!

ようこそ実力至上主義の教室へ」シリーズのレビュー記事まとめ!

《最終更新:2017/10/24 7:45》

ようこそ実力至上主義の教室へ トモセシュンサク Art Works

作品未読の方向けの記事

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各巻の概要とレビューが見たい方向けの記事

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シリーズ通した考察を読みたい方向けの記事

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《内容ネタバレ》「ようこそ実力至上主義の教室へ」6巻をレビュー!!

MF文庫Jの大人気シリーズ「ようこそ実力至上主義の教室へ」!

今回は原作6巻のあらすじ詳細と考察を記事にしたいと思います。

※原作6巻のネタバレを含みますのでご注意ください。

ようこそ実力至上主義の教室へ 6 (MF文庫J)

6巻内容ダイジェスト

体育祭が終わり、新旧生徒会の交代式の日。2年Aクラスの南雲が生徒会長に就任し、早速生徒会役員の任期無制限化、生徒会役員募集枠の常設化を実施。更に、会議による多数決での役員除名規約も作成し、伝統的な生徒会のシステムを撤廃していくことを宣言します。

また、1年Dクラスにも体育祭後にいくつか変化が生じていました。須藤が授業を真面目に受けるように変わり、クラスにもまとまりが生まれ始めます。また、綾小路は体育祭で足が速いことが発覚し、クラスメイトの佐藤に連絡先を求められたり、池や山内が寄り付かなくなったりと、少なからず彼の周囲に影響を与えました。

二学期の中間テストの結果発表日。Dクラスは退学者を出すことなく試験を乗り切ります。更に最下位常連だった須藤が躍進し、下から12番目の成績まで上昇。堀北の期待に応えようと、努力した結果が現れました。

また、二学期の期末テストに向けた小テスト。その結果が次の期末試験で大きく影響することを茶柱先生が説明します。期末テストは「クラス内の誰かと2人1組のペア」を作って挑み、ペア二人の合計点数で評価されます。全8科目ごとに最低ボーダーの60点が設けられているほか、総合点においても700点前後のボーダーが設置される予定。

また期末試験の問題は生徒側が作成し、希望するクラスに「攻撃」することが可能。迎え撃つクラスは「防衛」することになります。両者はクラスの総合点で競い、勝ったクラスが負けたクラスから50クラスポイントを取得。なお、直接対決の場合は100ポイントが変動します。また、生徒側が作成した問題は教師がチェックするため、指導領域を超えるものなど不備があれば全て修正されます。

茶柱先生の説明を聞き終え、綾小路たちは作戦会議を開催。小テストの法則については平田を中心に上級生へ聞き込みを実施すること。また、ペーパーシャッフルテストではCクラスを狙うことが決まり、その場は解散となりました。

また、Cクラスでは内通者の炙り出しが行われます。龍園の脅しに真鍋、山下、藪の三人は屈して、スパイに仕立て上げられた経緯を自白。黒幕の正体は不明なものの、軽井沢恵”が関係していることは知られてしまいます。

Dクラスのホームルーム、堀北は体育祭での自身の行動を謝罪し、小テスト攻略への協力をクラスメイトに要請します。小テストの最高得点と最低得点同士がペアになり、次は2位と下から2番目がペアになる~という法則を説明し、計画的にペアを作ることを提案します。
Dクラスのメンバーは堀北たちの提案に従って小テストを受け、理想的な組み合わせに調整することに成功。更にペーパーシャッフルはCクラスとの直接対決に決まり、堀北たちは問題作りと勉強会の開催に取り掛かります。
そんな中、クラスメイトの三宅長谷部が堀北たちに相談に現れます。彼らは得意科目が重なっており、科目ごとのボーダーに届かない可能性があるという相談。事情を聞いていた幸村が二人に個別で勉強を教えることになり、綾小路がサポートすることになりました。
櫛田からDクラスの問題がCクラスへ流出することを懸念した綾小路は、堀北へ対策を打つように指示。堀北は正攻法で櫛田を説き伏せることにします。堀北は期末テストでの”賭け”を櫛田へ提案。櫛田が得意な数学で勝負し、櫛田が勝てば堀北と綾小路が自主退学、堀北が勝てば今後櫛田は敵対することなく協力し、更に綾小路へ「中学時代の事件」を説明するという内容で、賭けが成立することになりました。
綾小路は三宅、長谷部、幸村たちと勉強会を通じて親睦を深めていると、Cクラスの龍園が黒幕を探りに訪れます。龍園は椎名ひよりを残して立ち去ったため、綾小路たちは彼女と会話することに。ひよりは、龍園が踏み潰した長谷部のコーヒーを弁償しつつ、CクラスではDクラスに潜む黒幕が話題になっていることを話します。

勉強会の帰り、長谷部の提案で、佐倉も含めて”綾小路グループ”が結成。早速映画をグループで見に行くことになり綾小路が喜んでいると、軽井沢からの連絡が入ります。軽井沢からひよりに関する報告を受け、必要な指示を綾小路側からも通達。一旦連絡を終了しますが、軽井沢は綾小路の誕生日に気付き、追加でバースデーケーキのスタンプを送信。自身の誕生日に唯一気付いてくれた軽井沢に驚き、メッセージを消すのに少し抵抗を覚えます。

映画の後、期末テストに向けた最後の打ち合わせを開始。軽井沢が櫛田に絡み、ジュースをぶちまけます。平田に諭され、軽井沢は櫛田へ謝罪。クリーニング代を払って、仲直りします。

期末試験3日前、堀北はDクラスを代表して試験問題を提出に向かいます。しかし、櫛田が既に自身で用意した試験問題を提出済みで、茶柱先生に受取りを拒否されます。櫛田が作成した問題は既にCクラスにも共有されており、絶体絶命の状況。しかし、事前に茶柱先生と口裏を合わせていた堀北は、実際には櫛田の問題の受理を阻止していました。堀北は、櫛田と龍園たちCクラスに問題がすり替わったと思い込ませ、彼女たちを出し抜くことに成功します

期末テストがスタートし、Dクラスは順調に試験を消化していきます。櫛田は数学の問題をCクラスから提供されていましたが、実際の問題は異なっており、堀北との賭けには負けてしまいます。賭けの条件を守り、今後”堀北”の邪魔をしないことを誓いますが、綾小路への妨害は賭けの対象外であることを言い残し、櫛田は去っていきます。

櫛田は自分を裏切った龍園を問い詰めるも、”問題分が実は堀北の提出した物が受理されていたこと”や、”櫛田が退学に追い込まれそうになっていたこと”を逆に教えられます。軽井沢がジュースをぶちまけてきたことまで仕組まれていたという事実を知り、櫛田は驚愕。龍園は自身の策をDクラスの黒幕に破られたことで、本格的に正体を突き止めるべく、行動を開始します。

軽井沢の描写と龍園とのクライマックス

6巻では”綾小路グループ”も結成され、新たな人間関係を築き始めた綾小路。中でも、龍園との決着に向けて、綾小路と軽井沢の信頼関係を示す描写が複数差し込まれていました。綾小路の良き協力者になりつつある軽井沢が、次巻で龍園に狙われるという状況”唯一綾小路の誕生日に気付いたヒロイン”という、読者側の好感度にブーストがかかる描写を入れることで、より次巻で”救われてほしい”ヒロインの演出に成功しています。

メインのストーリーを進めつつ、次巻の舞台をより魅力的な舞台にするための下準備もしっかり済ましてしまう部分に、衣笠先生の巧さを感じたエピソードでした。

7巻ネタバレレビュー

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5巻ネタバレレビュー

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《内容ネタバレ》「ようこそ実力至上主義の教室へ」5巻をレビュー!!

MF文庫Jの大人気シリーズ「ようこそ実力至上主義の教室へ」!

今回は原作5巻のあらすじ詳細と考察を記事にしたいと思います。

※原作5巻のネタバレを含みますのでご注意ください。

ようこそ実力至上主義の教室へ 5 (MF文庫J)

5巻内容ダイジェスト

夏休み明け、カフェ「パレット」で船上試験の反省会を行う綾小路、堀北、平田、軽井沢の4人。船上試験での「優待者」は、干支の順番とあいうえお順が同じものが選定されていたことが共有されます。例えば「卯」は干支で4番目、また「卯」グループメンバー全員をあいうえお順に並べた場合、軽井沢が4番目となり、「優待者」として選ばれたことが分かります。

ある日の午後の授業、茶柱先生は体育祭の説明を開始します。Aクラスと共に赤組となったDクラスは、他学年含めた顔合わせのため第一体育館へと向かいます。

1年生から3年生まで、赤組と白組に分かれた全校生徒たち。赤組の総指揮は3年Aクラスの藤巻が執り、まずは学年ごとに方針を話し合うことに。早速龍園率いるCクラスは話し合いを放棄し体育館を後にし、Bクラスの一之瀬たちは落胆。Dクラスは彼女たちBクラスの状況に同情しつつも、好機とみて方針の検討を開始します。

堀北が体育祭に対して策謀を巡らせようとしていると、綾小路は今回の試験はそのような性質のものではないことを説明。定期試験などと同様に体力やセンスが大きく影響することから、正攻法で準備を進めるようにアドバイスします。また、龍園についても対抗策を自身で考えるよう指示し、堀北に発破をかけます。

1か月後の体育祭に向けて、Dクラスは”個人ではなくクラスが勝つために動く”という方針で決まります。効率を重視し、運動神経の良い須藤と堀北はできるだけ多くの競技に出場すると主張。一部から反論はあったものの、順調に準備は進んでいきます。

綾小路の指示で堀北へ反論した軽井沢は、何故そのようなことをさせたのか問いただします。綾小路は明確な答えを避けたものの、体育祭でDクラスから裏切り者が出ること、裏切り者によって内部情報が全て露見する可能性があること軽井沢へ伝え、自分を信じさせるための予防線とします。

平田の提案で体育祭のリーダーに就任した須藤。平田と共にクラスメイトのサポートに回ります。一方堀北は他人と関わらず、二人三脚などのコンビネーションが必要な協議では思うように記録が伸びません。あまりにも酷い展開に、綾小路は堀北と二人三脚をして”相手を見ること、主導権を与えること”を教え、あとは自分で考えるようにアドバイスします。

体育祭当日、競技参加表がCクラスに漏れたことから、Dクラスは尽く嫌な相手との競争を余儀なくされます。高円寺も体調不良により体育祭を棄権したため、クラスの雰囲気はあまり良くない状況に。更に棒倒しで龍園に直接反則まがいの行為をされた須藤は段々と冷静さを失っていきます

また、堀北はCクラスの陸上部木下にピンポイントで狙われ、障害物競争でとうとう負傷してしまいます。堀北は無理をして二人三脚に出場しますが、結局最下位という結果になりました。騎馬戦でも堀北は集中的に狙われて落馬し、即座に敗退することになります。

堀北のボロボロの姿を見た軽井沢は綾小路に相談するも、彼は”やられるだけやられればいい”という方針を口にします。軽井沢は綾小路の真意を追求しようとしますが、暴走した須藤が平田を殴ってクラスが騒然となったため、聞くことはできませんでした。殴った事実は平田の機転でもみ消されたものの、須藤は一人寮の方へ帰ってしまいます。

全て龍園の想定通りにコトが運んでいるため、綾小路は堀北へ須藤を呼び戻しに行くように指示。堀北は渋々須藤を探しに向かいますが、途中で保健室に呼び出され、Cクラスの木下にわざと怪我をさせた疑惑を掛けられます。龍園から100万ポイントと土下座で和解するか、問題を掘り返して学校で審議するかを選ばされ、堀北は後悔と喪失感に苛まれます。

須藤が抜けた穴を代役で埋めるため、平田はプライベートポイントを支払い続けます。平田にばかり負担させるのは心苦しいと、櫛田と綾小路は男女混合二人三脚の代役となり出場。綾小路は櫛田にDクラスを裏切ってCクラスへ参加表を漏らした事実を確認。櫛田は事実を認め、堀北を退学にさせるという目的を明かします。

失意の中、堀北は須藤を見つけ出し、競技に戻るように説得します。堀北の真摯な言葉に、須藤は今後堀北に協力してAクラスを真剣に目指すことを決意します。孤独だった堀北に、初めて仲間ができた瞬間でした。

終戦の1200メートルリレーに何とか間に合った須藤は、クラスメイトに謝罪して競技に出場します。また、アンカーである堀北の代役は櫛田が走り、足首を痛めていた三宅の代走に綾小路が走ることになりました。

須藤はスタートダッシュを完璧に決めて1位でバトンを繋ぎ、二番手の平田も快走します。しかし、地力の差が徐々に現れ、五番手の櫛田にバトンが回った時点で7位まで順位を落とします。

綾小路は同じくアンカーの堀北兄に、リレーでなら勝負可能なことを伝えます。堀北兄は綾小路のスタートを待ち、二人の真剣勝負が始まりました。圧倒的なスピードで前の走者を抜き去る二人。結局、前の走者が驚いて体制を崩し、綾小路の進路が塞がれてしまったため、堀北兄には負けてしまいました。

体育祭は赤組の勝利。しかし、1年でDクラスは最下位となったため、マイナス100クラスポイント。他のクラスも軒並みポイントを下げ、全クラスが後退するという結果になりました。

堀北はCクラスと決着を付けるために龍園の元へ向かいます。同時刻に、綾小路が龍園へメールを送付。堀北を罠にハメる算段をしている龍園の盗聴データを送り、龍園に手を引かせます。

体育祭ルール

・体育祭におけるルール及び組分け

全学年を赤組と白組の2組に分け行われる対戦方式の体育祭。内訳は赤組がAクラスとDクラス。白組がBクラスとCクラスで構成される。

・全員参加競技の点数配分(個人競技

結果に応じて1位15点、2位12点、3位10点、4位8点が組に与えられる。5位以下は1点ずつ下がっていく。団体戦の場合は勝利した組に500点が与えられる。

・推薦参加競技の点数配分

結果に応じて1位50点、2位30点、3位15点、4位10点が組に与えられる。5位以下は2点ずつ下がっていく(最終競技のリレーは3倍の点数が与えられる)。

・赤組対白組の結果が与える影響

全学年の総合点で負けた組は学年等しくクラスポイントが100引かれる

・学年別順位が与える影響

総合点で1位を取ったクラスにはクラスポイントが50与えられる。総合点で2位を取ったクラスのクラスポイントは変動しない。総合点で3位を取ったクラスはクラスポイントが50引かれる。総合点で4位を取ったクラスはクラスポイントが100引かれる。

個人競技報酬(次回中間試験にて使用可能)

個人競技で1位を取った生徒には5000プライベートポイントの贈与もしくは筆記試験で3点に相当する点数を与える(点数を選んだ場合他人への付与は出来ない)

個人競技で2位を取った生徒には3000プライベートポイントの贈与もしくは筆記試験で2点に相当する点数を与える(点数を選んだ場合他人への付与は出来ない)

個人競技で3位を取った生徒には1000プライベートポイントの贈与もしくは筆記試験で1点に相当する点数を与える(点数を選んだ場合他人への付与は出来ない)

個人競技で最下位を取った生徒にはマイナス1000プライベートポイント(所持するポイントが1000未満になった場合は筆記試験でマイナス1点とする)。

・反則事項について

各競技のルールを熟読の上順守すること。違反した者は失格同様の扱いを受ける。悪質なものについては退場処分とする場合あり。それまでの獲得点数の剥奪も検討される。

・最優秀生徒報酬

全競技でもっとも高得点を得た生徒には10万プライベートポイントを贈与。

・クラス別最優秀生徒報酬

全競技でもっとも高得点を得た学年別生徒3名には各1万プライベートポイントを贈与。

なお、全競技終了後、学年内で点数の集計をし下位10名にペナルティを科す。なお、ペナルティの詳細は学年ごとに異なる場合があるため担任教師に確認すること(1年生は次回筆記試験で10点のマイナス)。

体育祭競技一覧

《全員参加種目》

・100メートル走

・ハードル競争

・棒倒し(男子限定)

・玉入れ(女子限定)

・男女別綱引き

・障害物競走

・二人三脚

・騎馬戦

・200メートル走

《推薦参加種目》

・借り物競争

・四方綱引き

・男女混合二人三脚

・3学年合同1200メートルリレー

※推薦参加種目については代役を立てることが可能。その場合、各競技に10万プライベートポイントが必要

6巻ネタバレレビュー

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4.5巻ネタバレレビュー

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《内容ネタバレ》「ようこそ実力至上主義の教室へ」4.5巻をレビュー!!

MF文庫Jの大人気シリーズ「ようこそ実力至上主義の教室へ」!

今回は原作4.5巻のあらすじ詳細と考察を記事にしたいと思います。

※原作4.5巻のネタバレを含みますのでご注意ください。

ようこそ実力至上主義の教室へ 4.5 (MF文庫J)

4.5巻内容ダイジェスト

《意外と伊吹澪は常識人である》

夏休みも終わりに近づいたころ、綾小路は話題の占い師が夏休み期間中のみケヤキモールを訪れていることを知ります。須藤から堀北を誘うように頼まれる綾小路でしたが、堀北には断られてしまいます。結果を報告すると、須藤もやる気をなくしてしまう始末。結局綾小路は、一人で占い師を見に行ってみることにします。

占い師がいると思われるフロアを訪れた綾小路は、カップル率の高さに腰が引けてしまいます。更に占いを受けるには二人一組になる必要があることを聞き、途方に暮れていると、Cクラスの伊吹を発見。伊吹も占いに興味があるものの、一人のため占いを受けられない状況とのこと。彼女から天中殺というキーワードを聞いて興味を抱いた綾小路は、翌日も諦めきれずにケヤキモールを訪問。綾小路同様諦めきれなかった伊吹と相談し、二人で占いを受けることにします

綾小路は占い師から”宿命天中殺”であることを指摘されます。宿命天中殺とは、親に恵まれず、自身で人生を切り開いていかねばならないという運命。しかし、もし自分でどうしようもなくなったら、仲間を頼れと予言されます。

占いを終わった二人はケヤキモールを後にしようとエレベーターへ乗り込みますが、故障により緊急停止してしまいます。備え付けの緊急電話も繋がらず、綾小路たちはAクラスの葛城にバッテリーが今にも切れそうな携帯で救助を要請。葛城は綾小路の意を汲み取り、救出に駆け付けてくれます。

《意外と葛城康平は悩んでいる》

伊吹とエレベーターに閉じ込められる1週間前、Dクラスの井の頭さんの誕生日プレゼントを購入するため、有志が買い物に出かけることに。そこでDクラスの面々は、Aクラスの葛城が誰かのプレゼントを選んでいる場面に遭遇。池たちを中心に渡す相手を推理するも、全く予想できません。

翌日、綾小路は葛城の行く先を知るため、並木道で見張りをしていると、生徒会長である堀北兄と偶然出会います。堀北兄は、綾小路に生徒会へ入るように打診。希望するのであれば、副会長のポジションを用意する旨を伝えられますが、綾小路は断ります

葛城の目的が双子の妹へプレゼントを贈ることだと分かり、堀北兄に相談するも、学校の規則上不可能だと言われてしまいます。そこで綾小路は、部活の試合で学園外に出る須藤に協力を要請し、見事プレゼントの送付に成功します。

《さりとて日常に潜む危険性》

とある夏休みの一日、水道局のトラブルにより寮全体の水が出なくなります。そんな中、堀北からの不審な電話を受けた綾小路は、彼女の部屋へ向かいます。

女性専用の水筒が右手にすっぽり挟まってしまった堀北は、断水のため洗剤などを使って抜くこともできず途方に暮れていました。寮で水を手に入れることが出来なかった二人は、ケヤキモールまで向かうことに。しかし、プライドの高い堀北は自分の姿を他の生徒に見せたくないため、なかなか外に出られません

結局、悪戦苦闘している間に佐倉から電話があり、水を分けてもらえることになったため、無事堀北の腕から水筒を外すことに成功します。

《女難、災難の1日。天使のような悪魔》

ある夏休みの日、山内は綾小路の部屋を訪問し、佐倉へ告白することを伝えます。山内の手紙を渡し、”彼への返事を校舎裏でして欲しい”と佐倉へ伝える役を依頼され、渋々ながらも綾小路は協力することにします。

綾小路から手紙を受け取った佐倉は、一瞬勘違いしながらも事態を把握。校舎裏で返事をすることも含めて了承します。

綾小路が同席する形で、山内の告白を断る佐倉。山内は落胆しつつ、その場を去っていきました。

《他クラスとの交流会》

夏休みの最終日、綾小路は堀北、櫛田、佐倉、須藤、池、山内の7人でプールに出掛けることに。しかし、池たちが女子更衣室の盗撮を企んでいることを知った綾小路は、軽井沢を招集して、彼らの作戦を失敗させるよう行動を開始します。

プールで一之瀬たちBクラスとも合流した綾小路たちは、プールでクラス対抗のバレーボールを開始。須藤の活躍で、Dクラスが勝利します。

綾小路たちがプールで遊んでいる間、軽井沢は女子更衣室を盗撮していたカメラからSDカードを押収し、綾小路へ届けます。綾小路はSDカードを破壊したのち、過去の傷を気にして泳ごうとしない軽井沢をプールへ突き落とします。閉館間際だったため監視員に怒られるも、軽井沢は仕返しに綾小路をプールへ落とします。更に怒った監視員に怒鳴られながらも、綾小路は軽井沢の笑顔が見られたことに満足します。

好感度アップの短編エピソード

4.5巻は夏休み中のキャラクターたちを描いており、”ギャップ”を特に打ちだすことで好感度アップが狙われています

強面の葛城が双子の妹に可愛いプレゼントを探すエピソード、普段はクールな伊吹が実は占い大好きな女の子というエピソード、同じくクールな堀北の手に水筒が挟まるエピソードなど。

軽井沢のエピソードは、彼女が実際に綾小路の指示に従って行動し、結果を出したことで、二人の関係性が強化されたような印象を受けました。

元々好感度があまり高くなかった須藤、池、山内は盗撮エピソードで更に好感度が落ちそうですが、その他のキャラクターたちは衣笠先生の狙い通り”より身近に”感じられる存在になったのではないでしょうか。

5巻ネタバレレビュー

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4巻ネタバレレビュー

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