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〈試読レビュー〉富士見ファンタジア文庫新作「再演世界の英雄大戦」!!

富士見ファンタジア文庫新作「再演世界の英雄大戦」!

公式の試し読みについて、レビューさせていただきます。

再演世界の英雄大戦って?

再演世界の英雄大戦 神殺しの錬金術師と背徳の聖処女 (ファンタジア文庫)

著者:三原みつき

イラスト:池咲ミサ

神VS英雄。神を殺し世界を変えるため、少女達の英雄魂を救え!

パラケルススの魂を宿す少年ライルに届いた依頼——「俺に神を殺すための教師になれだって!?」まずはジャンヌ・ダルクを宿す依頼人の少女クレールの魂を解放、即ち背徳な授業で“デレさせて強くする”ことになり?

英霊の魂を用いて神を倒す物語

本作の主人公ライルは、パラケルススの魂を宿し、黒魔術を使用する背徳者。人々へ信仰を強要し、国力が低い国から順に滅ぼしていく神々に対抗すべく、自身と同じく英雄の魂を宿す者たちを探します

プロローグは、非常にシリアスなバトル作品を思わせる展開。しかし、実際にはエロ要素とコメディ要素を多分に含んだ作品の為、好みが分かれる内容となっています。

神々に管理された世界

本作の舞台は、神々が人類を管理している世界。十三年に一度、神々は人類の国々から”黙示刻(アポカリプス)”の対象を一つ選び、消滅させます。

人類の国家は、神の国”サクラカエルム”への供物の量と質によってランク付けされ、そのランクの最下位が黙示刻の対象となります。ランク上位の国には多種多様な”神機”を授けることから、人類の国々は創意工夫を忘れ、他国をいかに出し抜いて神への供物を確保するかに励むようになっています。

また、神々への信仰心を持たない者たちは”背徳者”と呼ばれ、信仰心の厚い者達からは忌み嫌われる存在となっています。

以上のように殺伐とした世界を舞台としながらも、コミカルに物語が描かれており、独特な雰囲気を持った内容となっています。

TIPS

パラケルスス

パラケルスス(本名:テオフラストゥス・フォン・ホーエンハイム)は、スイスアインジーデルン出身の医師、化学者、錬金術師、神秘思想家。悪魔使いであったという伝承もあります。バーゼル大学で医学を講じた1年間を例外に、生涯のほとんどを放浪して過ごしました。

当時の主流であったスコラ哲学的解釈に対して自然の直接の探求を主張し、大宇宙と小宇宙(人間)の照応を基盤とする統一的世界観を、崩壊した中世農民世界の断片から形成することを目指しました。そのためあらゆる領域で従来の考えと戦わねばならず、彼の著作のほとんどは論争書となっています。

医学については、西洋医学に占星術や化学の要素を組み込み、医薬品に初めて金属化合物を採用しました。また、錬金術師としては、従来の金を生み出すという方向性ではなく、”万能薬(賢者の石)”を生み出すべきだと主張し、自然の事物の深淵に宿るエッセンスが普遍医薬(万能薬)へ繋がると考えていました。

〈アポカリプス〉

黙示(アポカリプス)は、初期のユダヤ教およびキリスト教において、神が選ばれた預言者に与えたとする「秘密の暴露」、またそれを記録したもの。黙示を記録した書を黙示文学といいます。

黙示文学はユダヤ教キリスト教イスラム教の伝統において極めて重要で、天地創造以来、現代を経て終末に至るまでの時代区分の説明、善と悪の対立、現代が悪の支配する時代であるという認識、終末による悪の時代の終焉、死者の復活、最後の審判、天国と地獄などの教義が与えられています。

黙示文学は元来、ギリシア語を話すユダヤ人に向けて書かれたものだったようですが、キリスト教徒にも受け容れられ用いられるようになり、さらに発展していきました。

 

以上、試読部分についてレビューさせていただきました。

シリアスな舞台で、コミカルな物語が語られる独特の内容となっていますので、人によって好き嫌いがはっきりと分かれる作品だと思います。そのため、本作は試読されてから購入することをオススメします。

今回も長文をお読みいただきまして、ありがとうございます。