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〈試読レビュー〉角川スニーカー文庫新作「6番線に春は来る。そして今日、君はいなくなる。」!!

角川スニーカー文庫の新作「6番線に春は来る。そして今日、君はいなくなる。」について試読レビュー!

6番線に春は来る。そして今日、君はいなくなる。って?

6番線に春は来る。そして今日、君はいなくなる。 (角川スニーカー文庫)

著者:大澤めぐみ

イラスト:もりちか

『おにぎりスタッバー』の鬼才による、渾身の青春群像。

やりたいことが見つからず、漠然と都会を夢見る優等生の香衣。サッカー部のエースで香衣の彼氏のはずの隆生。香衣に一目惚れする学内唯一の不良・龍輝。ある秘密を隠すため、香衣の親友を演じるセリカ4人が互いに抱く、劣等感。憧れ。恋心。後悔。あの駅で思いはすれ違い、一度きりの高校生活はとどまることなく進んでいく。「どうしてすべて手遅れになってからでないと、一番大事なことも言えないんだろう」これは、交錯する別れの物語

登場人物たちが真情を独白する青春群像作品

カクヨムでの試読部分は、主人公である郷津香衣の独白。高校における数少ない友人のうちの一人、峯村セリカとの交友関係について語られています。

セリカはオシャレで都会的で綺麗な女の子。誰とでもすぐ親しく話せてしまうタイプで、入学直後に香衣と話してから約半年間、二人は少なくない時間を共有してきています。しかし、香衣はまだセリカの電話番号を教えてもらえず、放課後も一緒に行動したことがない様子。”学校にいる間のみ”一緒に行動する友人関係となっています。

プロローグからの数ページですが、モノローグにより香衣の大まかな人物像が理解できる内容となっていました。セリカが微妙な友人関係を続けている理由は、”ある秘密を隠すため”とあらすじに書かれていますが、どのような秘密なのか気になります。

キャラクターの真情の独白のような文章は迫力があり、展開的にも続きが気になる仕掛けがされていて読者を引き込む冒頭部分だと感じました。

四人が互いに抱く感情とは?

本作は香衣、隆生、龍輝、セリカの四人の群像青春作品です。あらすじでは、劣等感、憧れ、恋心、後悔という四つの感情が書かれていますが、どの感情がどの関係に当てはまるのか、想像しながら読んでいくと楽しそうです。

群像作品の見所は、”複数の視点で語られてた物語が、最後にどのように収束するか”だと思います。バラバラのピースが、クライマックスに向けて次々と嵌っていくような展開だと、読者側も非常に爽快感を得ることが出来ます。

本作の場合だと、香衣たち四人のモノローグ中に描かれる”お互いの感情”が、クライマックスに向けてどのように繋がり合い、収束していくのかが見所になるかと思います。

全ての鍵を握るのは”ストーリー”

「6番線に春は来る。そして今日、君はいなくなる。」は、普通の都会の高校生活の中の、普通の高校生四人の群像作品。舞台・設定とキャラクターが普通であることから、本作が魅力的な作品たり得るには”ストーリー”が最も重要になってくるかと思います。

群像作品という形式的にも、読者に一気に読ませてしまうような展開が好ましいため、ストーリー構成を考えるのはとても難易度が高い印象。ライトノベルというジャンルの中では珍しい、かなりストイックな作品のように感じます。

どのようなストーリーになっているのか、非常に楽しみな作品です。

 

今回は、角川スニーカー文庫の新作「6番線に春は来る。そして今日、君はいなくなる。」についての試読レビューを書かせていただきました。試し読みはカクヨムに掲載されていますので、興味がある方は是非お読みになってください。