《内容ネタバレ》「冴えない彼女の育てかた」5巻をレビュー！！
富士見ファンタジア文庫の名作！「冴えない彼女の育てかた」5巻をネタバレありでレビューします！
※「冴えない彼女の育てかた」5巻のネタバレを含みます。ご注意ください。
※作品未読の方は、以下の特集記事をご覧ください。
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5巻内容ダイジェスト
5巻からは、加藤さんの髪型がポニーテールに変更となります。
シナリオ制作が終了した詩羽先輩へのお礼として、池袋での買い物に付き合うことになった安芸。詩羽先輩は3月で卒業となり、今後の進路など考える時期にきています。デートの終わり、詩羽先輩は安芸に『もう一つのトゥルールート』を提示。先に提出したシナリオとどちらが良いか、安芸に選択するように伝えます。
詩羽先輩からの第2稿を徹夜で読んだ安芸。初稿よりも霞詩子節が強く、何よりメインヒロインが違う話になっていました。
シナリオが選びきれず迷う安芸。加藤さんの提案により一度ゲームとしてシナリオを組み上げてみることに。通常なら一週間かかる作業を、加藤さんやエチカ、トキ、ランコの協力を経て、2日程度で組み上げるのに成功します。
「なんだよこれ…クソゲーじゃん」
詩羽先輩を説得し、シナリオ修正を開始。安芸は更に追加のメインルートを自分で書き上げることにし、2日間詩羽先輩と徹夜して、シナリオの修正とグランドルートの作成を完成させます。詩羽先輩の提案で、このギャルゲーのライター名は霞詩子でなく、TAKI UTAKOとすることに。
文化祭最後のキャンプファイヤー。中庭で詩羽先輩は加藤さんへ結果を報告。
「…霞ヶ丘先輩って、安芸くんに、大事にされ過ぎてるんですよ」
「どれだけ大事にされても、妹だとか、憧れだとか、師匠だとか、いつも特別扱いされて、結局、普通に側にいられない」
詩羽先輩の最大のジレンマ。安芸から崇拝される作家であるが故に、普通の女性として側にいられない。いつも普通に安芸くんの側にいるのは加藤さんで、それに対しての嫉妬がみられます。
お互い感情を少しずつ見せつつ、詩羽先輩は加藤さんへ、今日だけは瑠璃を演じるように依頼。加藤さんは瑠璃を演じつつ、安芸とフォークダンスを踊ります。
第2稿の意図と回答について
詩羽先輩：初稿の巡璃（加藤）シナリオか、第2稿の瑠璃（詩羽）シナリオを安芸に選択させ、加藤さんか詩羽先輩のどちらを選ぶのかを確かめたかった様子。※加藤さんもこの意図に気付き、本編中で安芸にどうするのか質問しています。
安芸：どちらのシナリオを選ぶとかではなく、そもそも両方のシナリオがゲームのものになっていないことに気付きます。全ボツして修正しつつ、初稿、第2稿、新たなルートの3本を本筋のルートとして残すことを決意。※詩羽先輩の意図には気付かず、ディレクターとしては正しいが、男としては斜め上な回答。
安芸の見出したシナリオの問題点まとめ
安芸は詩羽先輩のシナリオに以下の問題点を見出します。
①2種類のメインルートを、1つのゲームの中に収められていない。
②派生するIFルートが弱い。
③選択肢とゲーム性の関係の希薄さ。
④ゲームテキストとしてのバランスの悪さ。
ペンネームTAKI UTAKOの意味
TAKI：安芸くんの運営する霞詩子先生ファンブログでの管理人名。
UTAKO：ペンネームの霞詩子より。
詩羽先輩の再チャレンジエピソード
今巻は詩羽先輩のエピソード。過去同様にシナリオに自分の気持ちを込めて、安芸くんへ伝えるという作家らしいアプローチでした。
また、今回は加藤さんのメインヒロインポジションに大きく影響を与える可能性のあったエピソードでもあります。 仮に安芸が瑠璃のシナリオを選んでいれば、本質的なメインヒロインは詩羽先輩になってしまいますので。
まだそこまで強い執着心ではないようですが、加藤さん側からも"嫌じゃないので、譲りたくない"くらいの拘りは感じ取れました。
「どれだけ大事にされても、妹だとか、憧れだとか、師匠だとか、いつも特別扱いされて、結局、普通に側にいられない」
このセリフに集約されるように、安芸が憧憬を持つようになると、クリエイターとしてしか見られなくなり、普通に女性として側に寄り添うことが難しくなるようです。ただ、安芸は信者としてとても大切（ある意味メインヒロイン以上）に先輩を扱うため、離れるに離れられないというジレンマ。
以上、5巻は詩羽先輩の再チャレンジ回でした。
5巻付近から、加藤さんのポジションを直接揺るがすエピソードが始まります。少しずつ変わる関係性が面白くもあり、少し切なくも感じますね。
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