《内容ネタバレ》「冴えない彼女の育てかた」9巻をレビュー！！
富士見ファンタジア文庫の名作！「冴えない彼女の育てかた」9巻をネタバレありでレビューします！
※「冴えない彼女の育てかた」9巻のネタバレを含みます。ご注意ください。
※作品未読の方は、以下の特集記事をご覧ください。
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9巻内容ダイジェスト
前巻エピソードでサークルに大きな影響を与えてしまった英梨々。加藤さんは前向きに考え始めていた英梨々との仲直りに躊躇いを覚え、出海は無意識に英梨々のイラストに引っ張られてギャルゲーの絵ではなくなってしまいます。
いつも相談する加藤さんが当事者のため、相談できずに一人で悩む安芸。そこへ、美智留から状況を聞いた詩羽先輩がアドバイスしてくれます。
全てを解決するための"ギャルゲーシナリオ"を書くことを決意した安芸は、英梨々との思い出について本人に聞いてみることにします。英梨々が"何を思って"行動し、"どのように考えて"答えを出してきたのかを本人から聞くことで、安芸は"blessing software"新作ギャルゲーのサブヒロインルートである、英梨々ルート（仮）を書き上げます。
安芸の渾身のシナリオを読まされる加藤さん。シナリオの各所から滲み出る英梨々への愛情に複雑な心境になりつつも、英梨々と仲直りすることを決意します。
また、伊織はあまりにも情念が溢れるドロドロのシナリオを読み、出海に"萌える"イラストでシナリオをカバーするように指示。一度読みきらせることができれば、このシナリオはユーザーを虜にできると断言。出海も"萌え"イラストの必要性を理解し、自身の作風を取り戻します。
食べかけのサンドイッチを食べる加藤さん
英梨々のイラストを見たあと、少し前から「倫也くん」「恵」と呼び合っていた関係が、また「安芸くん」「加藤」に戻ってしまっていました。英梨々の存在の大きさと、そこへの苛立ちが原因かと思います。
9巻の序盤で、安芸の食べかけの焼きそばパンを英梨々が食べたことを出海経由で聞いていた加藤さん。安芸の食べかけのサンドイッチを勧められるも、嫌そうに断っていました。その後、安芸の書いた英梨々シナリオを読んでからは、呼び方がまた「倫也くん」に戻り、安芸の食べかけのサンドイッチを食べます。
英梨々との向き合い方に迷う加藤さんの心情を表していて、読み込みがいのあるエピソードだと感じました。
クリエイターとしての安芸
前作でもメインルートを一本担当していた安芸ですが、今回は詩羽先輩の校閲なしで、ひとりで原稿を仕上げました。自身の書き上げた原稿で、英梨々に引っ張られていた出海を引き戻し、態度を硬化させていた加藤さんの壁を壊すことに成功したという経験は、クリエイターとして非常に有意義なものだと思います。
今までは企画者やプロデューサーとしての安芸が中心でしたが、今後はクリエイターとしての未来も見えてくるエピソードでした。大学受験の勉強もほとんどしていなさそうですし、卒業後の安芸の進路も気になるところです。
今回は英梨々のエピソードでしたが、本スジは"加藤さんの英梨々への複雑な思い"と"出海のスランプ"を「渾身のシナリオで解決する安芸」という部分だったように読めました。
色々な問題を"シナリオ"で解決するという流れは熱くて良いですね！
9巻も楽しく読ませていただきました。
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