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《内容ネタバレ》「物理的に孤立している俺の高校生活」2巻をレビュー!!

ガガガ文庫の「物理的に孤立している俺の高校生活」シリーズ!

今回は2巻について、ネタバレレビューしていきます。

※2巻のネタバレを含んでいますのでご注意ください。

※本作を未読の方は、以下の紹介記事をご覧ください。

tino-review.hatenablog.com

物理的に孤立している俺の高校生活2 (ガガガ文庫)

2巻内容ダイジェスト

冒頭から業平のクラスに転校してくる汐ノ宮嵐蘭。高鷲は彼女にぼっちの匂いを感じ取り、彼女を人間関係研究会へ引き入れることを計画します。

汐ノ宮さんに実際に話しかけることになった業平。途中から我慢できずに乱入してきた高鷲と共に、汐ノ宮の異能「メイド長」を目撃することに。謎の生物に動揺しつつも、汐ノ宮の勧誘に成功します。

迫る夏休みに向け、四人(+メイド長)は遊びの計画を立てることにします。結果、鎌倉の海、地元の夏祭り、汐ノ宮の長野の別荘など、かなり充実した夏休みを計画します。更に、高鷲と愛河の押し切りで、夏休み中に業平とエリアス副会長が仲良くなることを目標とすることになりました。

夏休みに入り、まずは鎌倉の海に向かいます。リア充の巣窟に業平と高鷲はゲンナリしますが、愛河や汐ノ宮は平気そうな様子。お決まりの水着披露会がひととおり終わったのち、遊ぼうとしますが、元々ぼっち系だった彼らは、海での遊び方が分からずに右往左往

海の家などを回った後、愛河の事前工作によりエリアスが同じ海に来ていることを知り、業平は当初の目的通りエリアスと仲直りするべく行動を開始します。

愛河たちに言われた通り、素直にエリアスと話そうとする業平。結局、愛河の工作がバレて、業平がフォローすることに。彼女との会話により、理由は不明ですが、エリアスは中三の時、業平を決定的に嫌いになったことが分かります

日も暮れ始め、四人は帰ることにします。それぞれ想像していたよりも微妙な海の思い出になったようで、残念な雰囲気の帰路となりました。

地元の夏祭りの直前、業平は中三のころの祭りの記憶を思い出します。小学校からの友人だった笠原に誘われて、業平は男女八人程度で祭りに行くことになりました。しかし、途中でポイ捨てした笠原を注意することで集団の雰囲気が悪くなり、結局一人で先に帰ることになったというエピソード。

夏祭り当日、研究会メンバーと一緒に祭りを楽しむ業平。ただ、1m以内には近づけないため、少し寂しい様子。しかし、メイド長はドレインの影響を受けないらしく、業平の隣を歩いてくれます。

夏祭りでもエリアスに出会った業平は、駅に向かう間話すことを許してもらえます。そこでエリアスが表彰式の暴動事件を解決した業平を羨ましく思っていたことを聞きますが、結局仲良くなることはできませんでした。

夏休みのイベントも汐ノ宮の別荘旅行を残すのみとなり、人研メンバーは旅程などについて相談するため集合します。愛河の工作により、エリアスも旅行に参加することを知った業平は、少し憂鬱に。

ある程度話し合いに区切りがついたころ、汐ノ宮は友達がいなかったという過去を告白します。彼女は異能力がキッカケで友人とケンカすることになり、「おせっかいな人」というレッテルを貼られたこと、前の学校では常に上から目線と非難されていたことなどを話し、これからは自身で物事を判断していくことを決意。異能はもう不要だと汐ノ宮に言われ、メイド長は出ていってしまいます

汐ノ宮以外のメンバーは、何とかメイド長との仲を復縁させようと考えますが、いい案が浮かばずに苦戦。結局別荘旅行の当日になっても、状況が改善することはありませんでした。

別荘での夜、肝試しイベントをすることになります。愛河がゴールで待機、高鷲と汐ノ宮、業平とエリアスの組み合わせになりましたが、引き続き気まずさを感じている業平。

肝試しの道中、とうとうエリアスから業平を嫌いになった原因のエピソードを聞き出すことに成功します。それは、先日業平が思い出していた夏祭りのトラウマ。エリアスも同じグループで祭りに参加しており、悪である笠原を力で制圧しなかったことが気に食わなかったとのこと。

業平は、誰かを傷つけることの重みをエリアスに説明します。わだかまりをなくすことで、彼女と少し仲良くなれました。そんな時、以前出ていったきり会えていなかったメイド長が突如現れ、汐ノ宮の身に何かが起きたことを知らせてきます。

業平とエリアスがメイド長の後を追って現場に向かうと、汐ノ宮が川に転落しているのを発見。エリアスは汐ノ宮の元へ向かい、綺麗に調整した水を飲ませて落ち着かせ、傷口を綺麗な水で洗浄します。メイド長と汐ノ宮は仲直りし、無事川から脱出します。

最後は皆で花火をすることに。結局、業平とエリアスはライバルという関係でいることを選択します。

 汐ノ宮というキャラクターが良く分からない

2巻冒頭より登場した転校生キャラクターの汐ノ宮ですが、全編通してよく分からないキャラクターでした。

過去の友達とのすれ違いや人間関係の悩みから、「メイド長から自立する」という選択をした汐ノ宮。この選択も、昔の人間関係の失敗をメイド長のせいにしているだけのように読めましたが、その後終盤であっさり仲直りしてしまい、結局このキャラクターは何を考えているんだろうなぁという困惑のみ残ってしまいました。

もう少しエピソードが積み重なれば、人間性が分かってきて愛着も湧くのかもしれませんが、3巻に期待です。

エリアスの心理描写

夏休みの海での会話から、夏祭りの駅までの道のり、長野の別荘での肝試しと、段階を踏んでエリアスの心情を少しずつ明らかにしていく流れは良いなと感じました。一回の会話で全部わかってしまうのは勿体ないですし、人間関係ですので、このような段階を踏む形のほうが共感しやすいのかもしれません。

ただ、生徒会の副会長にもかかわらず、少し精神年齢が低すぎる印象があり、そこだけ違和感を覚えました。「正義の味方」に非常に強いこだわりを持っているのは何故なんでしょうか?

過去に、正義の味方に拘ることになる「何らかの理由」が描かれれば、あのキャラクター性にも説得力が出るのではないかと思います。

2巻で彼女が業平に敵対心を持っていた理由は分かりましたので、3巻以降は彼女という人間の深堀りが見たいなと感じました。

高鷲の存在感がない

愛河というストーリーをぐいぐい引っ張る強力なキャラクターがいるためか、1巻に比べてかなり影が薄くなってきている印象です。

このまま「はがない」の三日月夜空路線に入るのは悲しすぎますので、どこかでメインヒロインとして盛り上げるエピソードが欲しいです。

業平の「主体性」を感じない

主人公の業平は、人研部メンバーたちの行動に振り回され続けているだけで、自分の意思や矜持で行動しているように読めません。

主体性がない主人公は読んでいて共感しにくいため、少し勿体ない印象。

次巻以降で、彼の主体性が見られるエピソードが描かれれば嬉しく思います。

3巻ネタバレレビュー

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1巻ネタバレレビュー

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