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《内容ネタバレ》「物理的に孤立している俺の高校生活」1巻をレビュー!!

ガガガ文庫の「物理的に孤立している俺の高校生活」1巻についてレビュー!

※1巻のネタバレを含みますので、ご注意下さい。

※本作を未読の方は以下にネタバレなしの紹介記事がありますので、ご覧ください。

tino-review.hatenablog.com

物理的に孤立している俺の高校生活 (ガガガ文庫)

1巻内容ダイジェスト

主人公の業平は常時発動型のドレインを異能として持っています。そのため机の周りにはビニールテープで囲まれていて、危険物扱いされている状態。近くにいると体力を吸われてしまうため、物理的にぼっちとなっています。

そんな中、同じクラスでぼっちの、ココロオープンという残念異能を持った高鷲と、友達を作るための同盟を結ぶことになります。

高鷲は、ぼっち系ならば友達になりやすいはず!という結論に至り、見た目はリア充な愛河に近づくことに。愛河は好感度を20倍にする異能を持っており、クラスメイトの男子を虜にするので、女子からは嫌われていました。

無事、業平と高鷲は愛河と仲良くなり「人間関係研究会」を設立。更に、高鷲は次なるターゲットに生徒会副会長のエリアスを選びます。研究会に誘おうと意気揚々と彼女の元へ向かいますが、空き教室の無断使用の件で怒られてしまいます。

まったく取り付く島のないエリアスに、なぜ業平を敵対視するのかを質問。彼女は、戦闘向きな業平の能力が羨ましく、自身の正義の味方になれない能力が嫌いなため、それが敵対視に繋がっていることを説明します。結果、エリアスを研究会に誘うことには失敗しました。

三人でいるのにも慣れ始めたある日、業平への対応に関して、高鷲と愛河がケンカしてしまいます。ケンカの最中、高鷲はココロオープンを発動してしまって黒い感情を愛河に見られてしまい、二人は絶交状態に。高鷲と愛河が仲直りできず、業平はそれぞれと別々に会うようになっていきます。

業平と愛河が一緒に遊んでいた日、百均ショップの強盗を愛河が捕まえたことで、彼女は一躍学校のヒーローとなります。学校の人気者となった愛河に距離を感じた業平は、次第に彼女と距離を置くように変化していきます。

愛河が功績を認められて表彰される日、会場に集まっていた学生たちが、愛河の魅了をうけて暴徒となります。愛河を救うため、業平と高鷲は協力して道を切り開き、愛河を救い出すことに成功します。そして、わだかまりのあった高鷺と愛河は仲直りし、友達となることができました

主人公のドレインを強化して欲しい

業平のドレインは危険度Aランクのパッシブスキル。1m以内に対象が入ると体力を吸収され、効果範囲と威力はある程度コントロール可能。直接触れると吸収効率がアップします。

1巻のラストで愛河に魅了された生徒たちを無力化させるために、主人公はドレインを活用します。男子に抱きついた上で全力で能力を使用すると、1人無力化するのに15秒かかると説明。これが少し能力的に弱すぎる印象だったので、もう少し強く設定した方が面白くなると感じました。

「直接触れなくても、能力を全開放すれば3秒程度で半径2m以内の人間が無力化する」くらいの方がラストの展開に爽快感が出ますし、常に周囲から異能を怖がられている描写にも説得力が増しますので。

モノローグの文章が面白い

主人公の一人称視点での描写で、卑屈かつぼっちな価値観でモノローグが構成されており、自虐ネタを中心に笑わせてくれます。

自分に自信がなく、周囲の様子をうかがいながらも、嬉しいことを言われたらすぐ調子にのってしまう主人公の思考が共感できて面白いです。この作品の魅力は、モノローグ部分の安定した面白さだと思います。

強力なメインヒロインが欲しい

ジャンルとして青春異能ラブコメなので、確固たるメインヒロインを作って欲しいところです。

1巻では高鷲、愛河、エリアスの3人がヒロインとして登場。この中で高鷲が最もヒロイン力がなく「はがない」の三日月夜空を彷彿とさせるので、今後の展開で救済エピソードが欲しいです。

愛河の能力は好感度を20倍する異能。ヒロイン度は高いのですが、まだキャラに深みを感じないので、”意外な性格”などで人間性を見せて欲しいところ。

エリアスは1巻時点ではそんなに出番がないので、まだ触れないでおきます。少ない描写の中での印象は、いじられキャラかつマニアックな読者のための尖兵といった印象。

 

作品全体としてとても楽しく読むことができ、主人公もイイ奴なので共感しやすいです。ただ、まだヒロインたちの掘り下げが弱く、愛河さん以外ラブコメヒロインとしてほぼ機能していないのと、ラストの爽快感がもう少しあればなという二点が気になった1巻でした。

長文をお読みいただきありがとうございます。

2巻ネタバレレビュー

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