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《内容ネタバレ》「問題児たちが異世界から来るそうですよ?」1巻をレビュー!!

竜ノ湖太郎先生の問題児シリーズについて、順番にレビューしていきます!

最初は「問題児たちが異世界から来るそうですよ?」~YESウサギが呼びました!~について、内容のネタバレと考察をしていきます!

※1巻のネタバレを含んでいますので、ご注意ください。

問題児たちが異世界から来るそうですよ?YES! ウサギが呼びました! (角川スニーカー文庫)

1巻内容ダイジェスト

逆廻十六夜久遠飛鳥春日部耀の三人は、空から降ってきた手紙によって、異世界である"箱庭"へと招かれます。

『悩み多し異能をもつ少年少女に告げる。その才能を試すことを望むのならば、己の家族を、友人を、財産を、世界の全てを捨て、我らの"箱庭"に来られたし』

彼らを召喚した黒ウサギは、箱庭では必ずいずれかのコミュニティに属す必要があることと、「ギフトゲーム」という"恩恵"を用いて競うゲームで、金品、土地、利権、名誉、人間、ギフトなど賭けて競えることを説明します。

彼女らのコミュニティが弱小で""と"旗印"を失っていることを知るも、三人は参加を決意。更に、コミュニティのリーダーであるジンに因縁を付けてきた"フォレスト・ガロ"のガルドに対して、ギフトゲームを申し込みます。

フォレス・ガロとのギフトゲームは、ジャングルを舞台とした『ガルドの討伐』を目指すハンティングゲーム。ガルドは吸血鬼となって凶暴化している上、契約により銀の剣以外でのダメージを無効化されてしまう契約があり苦戦しますが、最後は飛鳥が”威光"のギフトで木々を操ってガルドを拘束したのち、銀の剣を突き立ててゲームに勝利します。

ジンと黒ウサギが元々救出を計画していた、コミュニティの元メンバーで吸血鬼のレティシア。彼女は"サウザンドアイズ"傘下の"ペルセウス”により、神格としての力を奪われた上、箱庭外の国へ売られようとしていました。黒ウサギは"ペルセウス"リーダーのルイオスへギフトゲームを申し込みます

決戦のゲーム内容はペルセウスの伝説を元にしており、敵に見付からずにリーダーのルイオスを撃破することがクリア条件とされます。"ペルセウス"の拠点を破壊して敵を引き付ける囮役の飛鳥と、不可視の敵を五感やソナーで見破る耀の活躍により、ルイオスの元へとたどり着いた十六夜とジン。ルイオスは星霊アルゴールを差し向けるも、実力の底が見えない十六夜の圧倒的な力に敗北し"ペルセウス"は崩壊しました。囚われていたレティシアも無事取り戻し、ジンたちの最初の目標は達成されることとなります。

広大な異世界"箱庭"という世界観

箱庭には明確な世界の果てがありますが、表面積は恒星に匹敵するレベルで、膨大な資源と豊富な土地が存在しています。また、箱庭には階層があり、数字が若いほど都市の中心に近く、同時に強大な力を持つものが住んでいます

才能がある者たちは人を集めて国を作り、逆に能のないものは天蓋に覆われた箱庭都市から離れて暮らします。天蓋は吸血鬼など太陽の光を直接浴びることができない種族に配慮されて取り付けられたもので、天蓋の中に入ってしまえば天蓋が不可視となるため、太陽や空を視認することができます。龍種、鬼種、幻獣、精霊などの国は箱庭都市外にも大規模な街を築いており、ギフトを失った人間は箱庭から離れた国で力を付け、再度箱庭に挑戦することも可能です。

また、世界の果てには横幅の全長が2,800mもあるトリトニスの大滝があり流水は無限の空に投げ出されています。世界は世界軸と呼ばれる柱で支えられており、一本は箱庭を貫通している巨大な主軸であることが分かっています。

問題児たちが召喚された世界の設定ですが、壮大で綿密で、文字を読んでいるだけで景色が広がってくるような迫力がありました。

敵との"ギフト"を駆使して戦うゲーム

ゲームで決着をつけていくという展開から、ノーゲーム・ノーライフのようなイメージを持っていましたが、実際はバトル寄りの展開となっていました。ノーゲーム・ノーライフほど頭脳戦に寄っておらず、適度な頭脳戦がありつつ、あとは力でねじ伏せるというバランスの良い配分だったかと思います。中でも十六夜が非常に強いため、爽快感があって楽しく読ませていただきました。

単純な俺TUEEE系の物語だと味気ない印象があったのですが、ギフトを使った駆け引きと頭脳戦が混じることで、読み応えのある展開になっていると感じました。

底知れない主人公、十六夜

本作の俺TUEEEな主人公。物語の冒頭からクライマックスまで、実力を出し切らずに1巻は終わってしまいました。第三宇宙速度って何なんだ?とは思いましたが、とてつもなく規格外に強いということは伝わってきました。更に、強いだけでなくて知識も豊富で、この人何でもできてしまうんじゃないのかと思うくらいです。

少し悪ぶっているところがとある魔術の禁書目録の一方通行さんと似ているような気もしましたが、十六夜の方が女慣れもしていそうですし強そうですね。自分の矜持をしっかり持っている主人公は、ダークヒーロー系でもかっこいいなと感じました。

TIPS

《ギフトゲーム》

様々な修羅神仏、悪魔、精霊、星から与えられた恩恵を用いて競い合うためのゲームのこと。基本的には定められた期日内に参加登録すれば、ギフトゲームには参加可能。

箱庭にも一般的な法律は存在しますが、ギフトゲームに関しては法律よりも優先されるため、強い効力を持っています。

《コミュニティ》

箱庭内で活動する人々の集合体。コミュニティのプレイヤーたちがギフトゲームに参加し、彼らのもたらす恩恵で生活していく集団。それぞれ活動するうえで””と”旗印”を箱庭に申告します。名はコミュニティの信用を表し、持っていなければ”ノーネーム”の蔑称で呼ばれます。また、旗印はコミュニティのテリトリーを主張するものです。

《主催者》

ギフトゲームを開催する者もしくはコミュニティのこと。修羅神仏が人を試すための試練と称して開催されるゲームや、コミュニティの力を誇示するために独自開催する場合もあるそうです。

主催者は、”恩恵”、金品、土地、利権、名誉、人間などを賭けて参加者と競い合うことが可能。コミュニティ主催の場合は、参加料を取られる場合もあり。なお、恩恵を賭け合った場合は、自身の才能もなくす可能性があります。

《ウサギ》

ウサギたちは箱庭の創始者の眷属。”箱庭の貴族”とも呼ばれ、様々な恩恵の他、"審判権限"と呼ばれる特権を所持しています。また、ウサギの目と耳は箱庭の中枢と連携しており、敗北者の判定などが可能になっています。

《審判権限》

審判権限を持つものがゲームの審判を務めた場合、ギフトゲームのルールを破った者は即座に敗北とすることできる特権。その所有には以下の代償が必要になっています。

一つ、ギフトゲームの審判を務めた日より数えて十五日間はゲームに参加できない。

二つ、主催者側から認可を取らねば参加できない。

三つ、箱庭の外で行われているゲームには参加できない。

また、副次効果として特殊な種意外とは意思疎通が可能な特性もあり。

《吸血鬼》

箱庭の天蓋の中では太陽の光を浴びることができるため、”箱庭の騎士”と呼ばれている種族。吸血鬼は儀式過程を省いて、互いの体液を交換することで鬼種化を成立できる特性があります。この吸血鬼化が可能なのは、純血の吸血鬼のみとされています。

《サウザンドアイズ》

特殊な瞳のギフトを持つ者たちの群体コミュニティで、箱庭の東西南北上層下層の全てに精通する超巨大商業コミュニティでもあります。

《階層支配者》

東西南北それぞれに存在し、白夜叉の場合は東側四桁以下のコミュニティでは並ぶ者がいない最強の主催者。”白き夜の魔王” 太陽と白夜の星霊。

《主催者権限》

主催者権限を持つものにギフトゲームを挑まれた場合、ゲームを断ることはできません

《魔王》

"主催者権限"を持ち、それを悪用する者たちの総称。

 

 

次は、引き続き2巻を読んでいきたいと思います。

今回も長文をお読みいただきましてありがとうございます。

2巻ネタバレレビュー

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