《内容ネタバレ》「冴えない彼女の育てかた」12巻をレビュー!!
富士見ファンタジア文庫の名作!「冴えない彼女の育てかた」12巻をネタバレありでレビューします!
※「冴えない彼女の育てかた」12巻のネタバレを含みます。ご注意ください。
※作品未読の方は、以下の特集記事をご覧ください。
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12巻内容ダイジェスト
マルズの担当者から緊急の連絡があり、紅坂朱音の病室へ向かう安芸。誕生日デートの約束をしていた加藤さんには謝罪の電話をして、予定をキャンセルにしてもらっています。昨年に引き続き誕生日をスルーされてしまった加藤さんは、かなりショックを受けた様子。
紅坂の様態が安定し、加藤さんへ状況を報告。何となく煮え切らない態度の安芸に、加藤さんは不安を感じます。
英梨々と詩羽先輩の話から、マルズとの連携が完全に遮断されつつあることに気付いた安芸は、紅坂へ協力を申し出ます。フィールズ・クロニクルを完全な形で世に出すため、安芸は一旦サークルから離脱することを選びました。
安芸の決意を知った加藤さんは、以前の冬コミ後のように怒って安芸の連絡を無視するようになります。安芸はマルズと英梨々・詩羽先輩の間に立って、納期の延長や業務分担を整理しつつ、加藤さんへメッセージを送り続けます。
その様子を見ていた詩羽先輩が、英梨々を説得して安芸を諦めさせ、安芸に内緒で加藤さんへある策を実行します。
フィールズ・クロニクルが最終調整にはいる段階で、加藤さんも一緒に手伝って欲しいと連絡する安芸。メールを送ったはずなのに、なぜかドアの外で着信音が鳴ったことに違和感を覚えてドアを開けてみると、そこには無言で加藤さんが座っていました。
不機嫌ながらも来てくれた加藤さんを英梨々や詩羽先輩も歓迎し、久しぶりに初代”blessing software”で作業を行うことに。現メンバーも参戦し、懐かしい雰囲気を分かち合いながら、フィールズ・クロニクルは完成します。
作業後、連日の徹夜からくる疲労を回復するべく、バラバラと帰宅するメンバーたち。加藤さんは最後まで後始末で残っていたため、安芸は駅まで送ることに。久しぶりに恋人繋ぎをして、雰囲気が高まったところで…
「俺……恵が好きだ!三次元(リアル)のお前が好きだ!」
「その『リアルの』っての、いらなくない?」
マルズとの交渉をやり遂げる安芸
11巻ラストの引きで倒れたのは紅坂朱音でした。10巻付近から安芸と妙に絡む機会が出てきた紅坂ですが、クライマックス前に『転』として機能させられるとは予想していませんでした。
紅坂が一人でマルズと交渉していたため、代わりに安芸が交渉に臨むわけですが、高校生が商業の一流タイトルの交渉で納期延長を勝ち取るのは本当にすごいことだと思います。マルズが依頼主、安芸が委託側ですから、立場的にも弱いですし、しかも代表の紅坂さんが急病で迷惑をかけているという負い目まであるというハードな状況。
この状況で交渉して結果を残せるのであれば、プロデューサーとしても商業で十分にやっていけるのではないでしょうか。13巻でどこまで安芸の進路が明らかになるかは分かりませんが、今後安芸がどんな道を選ぶのかも気になります。
行動と言動がチグハグな加藤さんがとてもリアル
不安で仕方ないのに「信じてる」と伝えてみたり、皆が帰るのをひっそり待っていたのに、送ろうとする安芸に「(送りは)いらない」と言ってみたり。
自分の感情と実際の行動や言動が完全にチグハグになっていて、どちらが本当の加藤さんの気持ちなのかが気になるように描写されています。ライトノベルのヒロインキャラクターの場合、本心と行動が異なる場合はあざといほどに演出されていますが、加藤さんの場合は一見普通に見えるところが、とてもリアルで面白いところだと思います。
二次元ヒロイン的ではないのにも関わらず、魅力的な印象を残していきますので、丸戸先生の表現力は素晴らしいと思います。
以上、12巻のレビューを記載させていただきました。
13巻は10月20日以降にレビューを記載させていただく予定ですので、是非ご覧になってください。
11巻ネタバレレビュー
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