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角川スニーカー文庫「6番線に春は来る。そして今日、君はいなくなる。」の魅力をご紹介!

角川スニーカー文庫新作「6番線に春は来る。そして今日、君はいなくなる。」!

ネタバレなしで魅力を紹介させていただきます。

※新作のため、内容ネタバレ記事は発売日の二週間後を目安に投稿予定です。

※試読レビュー記事は以下をご覧ください。

tino-review.hatenablog.com

6番線に春は来る。そして今日、君はいなくなる。って?

6番線に春は来る。そして今日、君はいなくなる。 (角川スニーカー文庫)

著者:大澤めぐみ

イラスト:もりちか

『おにぎりスタッバー』の鬼才による、渾身の青春群像。

やりたいことが見つからず、漠然と都会を夢見る優等生の香衣。サッカー部のエースで香衣の彼氏のはずの隆生。香衣に一目惚れする学内唯一の不良・龍輝。ある秘密を隠すため、香衣の親友を演じるセリカ4人が互いに抱く、劣等感。憧れ。恋心。後悔。あの駅で思いはすれ違い、一度きりの高校生活はとどまることなく進んでいく。「どうしてすべて手遅れになってからでないと、一番大事なことも言えないんだろう」これは、交錯する別れの物語

四人の登場人物を複数の視点で描いた作品

本作には四人の高校生が登場し、香衣、隆生、龍輝、セリカの順で、それぞれの視点から物語が紡がれる群像作品です。

主観と客観の両方を読むことで、それぞれのキャラクターの意外な一面を知ることができ、”人間って面白いな”と思わせてくれる作品。表面上見えているものと、実際に本人が感じていることは全く異なるということ。また、少し自分から踏み出すことで、そのズレを減らし、お互いに分かり合えるということを実感させてくれる、青春の物語です。

作品全体に青春の刹那的な寂しさを感じるものの、高校生たちの真情と成長が綺麗に描かれており、非常に読み応えのある内容になっています。

一気に読ませてしまうストーリー

本作は、視点も時系列もバラバラに、四人それぞれの視点で物語が紡がれます。しかし、ストーリーは全て繋がっており、クライマックスのセリカのパートからエピローグまでは、読者側も読むのが止まらなくなるほどの引力がある展開になっています。

キャラクター、世界観及びストーリーは、リアリティはあるものの、セオリー範囲内の設定。しかし、ライトノベル読者向けに読みやすくしつつ、文章と表現力、作品の構成によって独自のテイストを生み出されており、青春系作品が好きな方は必見の物語になっています。

人間の複雑さと簡単さ

本作の中で描かれているテーマの一つに”人間の複雑さと簡単さ”があります。様々な感情により複雑に絡み合った人間関係が、ほんの少しのキッカケで大きく変化する様子が描かれており、リアリティを持った内容になっています。

簡単に変わってしまうからこそ、登場人物たちは、理想的な人間関係に憧れ、上手くできなかった過去の自分を後悔しています。彼女たちの感情の機微が丁寧に描かれており、青春時代の憧れ、後悔、恋心、劣等感などの複雑な感情を、色々な視点から感じることが出来ます

 

以上、角川スニーカー文庫「6番線に春は来る。そして今日、君はいなくなる。」の魅力について紹介させていただきました。

未完成だからこそ魅力のある高校時代の青春を、登場人物の感情の機微含めて丁寧に描かれており積極的にオススメしたい作品の一つとなりました。

興味を持たれた方は、是非お試しいただければと思います。今回も長文をお読みいただきましてありがとうございます。