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MF文庫J「ワキヤくんの主役理論」!主役理論について考察!!

9月25日に発売されたMF文庫J「ワキヤくんの主役理論」!

作中に登場する"主役理論"について考察します!!

※ネタバレを含む可能性がありますので、ご注意ください。

※本作をお読みでない方は、以下リンク先の記事で魅力を紹介していますので、そちらをご覧ください。

tino-review.hatenablog.com

ワキヤくんの主役理論って?

ワキヤくんの主役理論 (MF文庫J)

著者:涼暮皐

イラスト:すし*

青春を最大限楽しむためのメソッド《主役理論》を掲げ、夢の一人暮らしを勝ち取った俺・我喜屋未那。隣に住む少女・友利叶も一人暮らしで、クラスメイトで、バイト先も趣味嗜好も全てが同じ……なのに俺と真逆の《脇役哲学》を掲げる、決して相容れない天敵だった! そんな叶との口喧嘩の果て、同時に部屋の壁を蹴破ってしまい、何故か同棲する羽目に。そして俺たちは、やはり同時に考えた――これは戦争だ、と。
「そのさもしい青春に嫌気が差したら、いつでも言ってくれればいいぜ?」
「そっちこそ、煩わしい人間関係に嫌気が差したら、いつでも頼ってくれていいよ」
俺の《主役理論》と叶の《脇役哲学》、どちらが正しいかこの同棲で白黒つけようか!

主役理論について考察

《主役理論》

第一条 機会を待つな、自らの手と足で奪い取れ

第二条 人間関係こそ青春の鍵。知人には数を、友人には質を妥協するな

第三条 人を呼ぶには自分を磨け、明るい笑顔は基本の一歩、常に視線を意識せよ

第四条 行動してこそチャンスが舞い込む。それを掴み取る握力こそ、青春に最も必要な武器

第五条 情けは人の為ならず。楽しい青春は、ひとりでは叶わないことを忘れるな。

第六条 皮肉は仕舞い込めるようになれ、無闇に敵を作っても得することはない

以下、主役理論の各項目について確認していきます。

"第一条 機会を待つな、自らの手と足で奪い取れ。"

⇒高校から一人暮らしを開始することを決意したり、入学式の初日に叶に積極的に話しかけたりする際に意識されていた条項。尻込みや妥協しそうな時に、自分を奮い立たせるために使う呪文的な条項という印象。

"第二条 人間関係こそ青春の鍵。知人には数を、友人には質を妥協するな。"

自分から率先して顔を売り、話題の中心になるように立ち回ることを意識。特に入学式などのスタートで失敗すると挽回が難しいため、関係性が固まり切っていない初期は特に意識しなければならない条項。

"第三条 人を呼ぶには自分を磨け、明るい笑顔は基本の一歩、常に視線を意識せよ。”

⇒本編モノローグではまだ登場していないですが、常に意識して向上心を持ち続けるための条項。自己を高めつつ、周囲には常に気を配る必要があります。

"第四条 行動してこそチャンスが舞い込む。それを掴み取る握力こそ、青春に最も必要な武器。"

⇒さなかが初めて未那の家に遊びに行きたいと言ってきた際に紹介された条項。常に種は撒きつつ、チャンスがあれば貪欲に掴み取っていくという条項。本編の場合は、積極的にチャンスを掴みに行った結果、同棲がバレるというピンチに

"第五条 情けは人の為ならず。楽しい青春は、ひとりでは叶わないことを忘れるな。"

⇒人の世話を積極的にすることで、回りまわって自分の利になって返ってくると信じて積極的に行動する条項。人と関わることで、人間関係も豊かになっていくはず。

"第六条 皮肉は仕舞い込めるようになれ、無闇に敵を作っても得することはない。"

⇒人の悪口を言わないようにしましょうという条項。本編ではまだ出ていない条項ですが、これは脇役哲学とも共通する項目のように思います。

 

第二条、第三条は常日頃から意識するもので、第一条、第四条、第五条は積極性を高め人間関係を豊かにする条項、第六条は敵を作らない為の防御的条項という構成です。

第一条と第四条は似ていますが、第一条は「新しい環境や関係性を開拓する際の積極性」で、第四条は「既存の関係性を成長させる積極性」をそれぞれ向上させるという使い分けがあるのかなと予想しています。

叶の脇役哲学も、構成は殆ど同じで、積極性が「消極的」にし、人間関係も「乏しく」にする方向で各条項が作られているイメージだと思います。第六条に関しては脇役哲学も同じなのではないでしょうか。

「理論」と「哲学」の違いについて

tino-review.hatenablog.com

書籍版の表紙イラストについて

Twitterで涼暮皐先生が言われていた、表紙と中表紙、目次のイラストの違いについて確認してみました。

《表紙》

ワキヤくんの主役理論 (MF文庫J)

《中表紙》

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《目次》

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表紙と中表紙のイラストはほぼ同じですが、「叶の口元」が異なります。表紙の叶はぎこちなく笑っていますが、中表紙の叶は少しむくれています。

表紙では嫌々ながらも笑顔を作りつつ、中表紙では"脇役哲学"に反して表紙に出されたことを怒っているのでしょうか?

また、目次では未那の方が前に出てくる構図になっています。未那的には脇役哲学を提唱しているライバルを表紙に出せたことで"主役理論"側に引きずり込み満足しているような印象。また、ポーズも叶のものとは対照になっているため、二人が正反対であることを表しているのかもしれません。イラストってしっかり見ると奥深いですね!

 

以上、今回は主役理論の各項目についての考察と、表紙イラストの考察をさせていただきました。長文をお読みいただきましてありがとうございます。

1巻ネタバレレビュー

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