電撃文庫「幼馴染の山吹さん」の魅力をご紹介！！

2017年10月7日発売の電撃文庫新作「幼馴染の山吹さん」について、ネタバレなしで魅力をご紹介！

王道の青春物語を是非読んでみてください！！

著者：道草よもぎ

イラスト：かにビーム

定価：（本体630円＋税）2017年10月7日発売

ISBN　978-4-04-893396-4

桜の木の精霊にかけられた呪いとは!?僕と山吹さんの青春ミッションスタート！

「ねぇ、あかりちゃん。ぼく、やくそくするよ」
それは幼い頃に幼馴染の山吹灯里と交わした約束。けれども、今ではきっと青葉喜一郎しか覚えていない約束。
それから時は流れ、二人は自然と疎遠になり気付けば高校生になっていた。地味な喜一郎とは違い、すっかり誰もが認める美人になった灯里だったが

――『今から貴様は呪いを受ける』突然ふりかかった“青春の呪い”によって、彼女の存在は徐々に消されていき!?　彼女を救うためには、数々の青春(試練)をこなすこと!?再び動き出した二人の時間。一度しかない高校生活を、少年少女が全力で駆ける青春ラブコメディ。

本作は普通の高校生の男の子と、世界一可愛い幼馴染の山吹さんの、リアルな青春と恋愛模様を描いた作品です。何か大きな事件があったわけでもなく、少しのすれ違いで自然と疎遠になってしまった二人が、"青春の呪い”をキッカケに再びお互いに向き合うことになります。

作中のエピソードは、実際の高校生が実現できるような現実的なものが多いのにも拘らず、すべてにドキドキする青春の匂いを感じられました。等身大で普通なエピソードなのに、普通じゃないものに魅せる表現力は素晴らしいなと思います。

試読レビューの際にも書かせていただきましたが、道草先生の文章は少し重めで誠実な印象を受けます。モノローグも真面目な印象を感じますので、主人公に対する嫌悪感みたいなものはあまり感じませんでした。

恋愛モノの場合、主人公がストーリー上多少ヘタれる必要があるかとおもいますが、本作の場合は真面目な文章により主人公の好感度が上がっているため、嫌いになったりする人は少ないのではないかと思います。

等身大の青春を描いている本作ですが、作中では春なので桜の花びらが舞い散るなど綺麗な情景のシーンも多いです。かにビーム先生の綺麗かつ可愛いイラストがかなり本作に嵌っていて、ぴったりのイラストレーターさんだと感じました。

目次や各章の扉絵も全てノート風になっていて、小説全体が一つの「青春」になっているように思います。桜の木の精霊である白熊猫小春のデザインも綺麗です！

本作は青春の熱い部分だけでなく、儚い部分も描かれています。少しネタバレになりますが、「"青春の呪い"を解いた後は、呪いに関する記憶を失う」ということが中盤付近から明かされ始めます。

主人公と幼馴染の山吹さんは、二人の過去と向き合い、少しずつ距離を縮めながら呪いを解くためのミッションをクリアしていきますが、その記憶も呪いを解いた後にはなくなってしまうというジレンマ。

全力で青春する二人の答えと行く末を、是非本編で確かめてみてください。

以上、幼馴染の山吹さんについてレビューさせていただきました。

まだまだ、登場しているだけで掘り下げられていないキャラクターが沢山いますので、続編も可能かと思います。毎回舞台の高校は同じで、主人公とヒロインが変わるパターンとかでも面白いかもしれません。

とても満足できる作品ですので、是非お試しください！！

ソク読みライトノベル