《内容ネタバレ》「問題児たちが異世界から来るそうですよ?」6巻をレビュー!!
竜ノ湖太郎先生の問題児シリーズについて、6巻をレビューしていきます!
「問題児たちが異世界から来るそうですよ?」~ウロボロスの連盟旗~について、内容のネタバレと考察をしていきます!
※6巻のネタバレを含んでいますので、ご注意ください。
6巻内容ダイジェスト
箱庭五四五四五外門”煌焔の都”。”ノーネーム”のメンバーは”階層支配者”の召集会へ同席するため、”サラマンドラ”が治めるこの地を再び訪れます。煌焔の都では”神隠し”が最近頻繁に起こっていることを知り、十六夜は問題の解決に乗り出します。
また、ジンとペストも十六夜とは別に、”サラマンドラ”のサンドラ及び客分のリン、殿下と”神隠し”の謎を追うことになります。ただ、ペストはリンと殿下が魔王連盟のメンバーであることを知っているため、狼狽。現状の戦力ではリンと殿下を抑えきれないと判断したペストは、彼らの正体には触れず、流れに身を任せるしかありませんでした。
一方、”ウィル・オ・ウィスプ”の工房にディーンを受取りに来た飛鳥たちは、かつての因縁の相手”ペルセウス”のルイオスと再会。”サウザンドアイズ”を追放された彼らですが、”鍛冶神・ヘパイストス”の神格を持つため、恩恵付与や霊石類の錬成技術に長けているため、”ウィス・オ・ウィスプ”と同盟関係を結んでいる様子。”ペルセウス”は、”ノーネーム”の連盟に参加する最後のコミュニティとして、"ウィル・オ・ウィスプ”が用意したカードでした。
”神隠し”の問題解決を目指す十六夜ですが、主犯である混世魔王を犯行現場で発見し追跡に入ります。あと少しで仕留められるという間際、”マクスウェルの魔王”によって邪魔をされ、混世魔王の逃亡を許してしまいます。助けられた混世魔王は、リンの説得により魔王連盟に加入。彼らの計画を手伝うことになります。
ギフトゲーム『造物主達の決闘』にて、闘技場で睨み合うウィラ、飛鳥、耀の三人。”ウィル・オ・ウィスプ”のリーダーであるウィラの先制攻撃”愚者の劫火”を何とか耐えきりつつ、戦闘を開始します。
闘技場を訪れていたジン、殿下、サンドラは、彼女たちの実力に驚きを隠せない様子。同じく闘技場に来ていた黒ウサギたちと合流したジンは、”殿下が魔王連盟”であること、真の狙いがサンドラの誘拐にあることを指摘。初対面の時にペストと知り合いだった様子を見て、最初から確信していたようです。正体を明かされた殿下は、帝釈天の神槍を弾き、太陽の鎧を貫通する掌撃を加えて黒ウサギを戦闘不能にします。更に殿下は、試合を中断して追撃してきた耀と飛鳥をあしらい、ジャックにも重症を負わせます。
仲間たちが傷付けられているのを見た十六夜は激高し、殿下へ攻撃を開始。闘技場を破壊する程の攻撃に、殿下も防戦一方となります。そこへ、殿下の仲間である魔王連盟”ウロボロス”のメンバーが援軍として登場。ジンとペストを魔王連盟に勧誘しつつ、殿下を回収して撤退していきます。
魔王連盟の”殿下”が登場
今まで”ノーネーム”のメンバーたちと戦いを繰り広げてきた魔王連盟の名前と、リンたちを従える主がとうとう明かされました。
魔王連盟の名は”ウロボロス”で、リンたちの主は”殿下”。殿下は黒ウサギの帝釈天の装備でも通用しない強敵で、実力的にもビジュアル的にも十六夜のライバルになりそうです。
彼らのセリフにあった、”原典”の候補者とは何なのか?続きを読むのが楽しみになります。
視点切替による臨場感の演出
本作「問題児たちが異世界から来るそうですよ?」では、視点の切替が頻繁に起こる印象があります。今回の場合を例にすると、「ジン・ペスト視点」「十六夜視点」「飛鳥・耀視点」の三つを細かく切り替えつつ、クライマックスで一つのエピソードに集約するという手法。
この演出により、物語がリアルタイムで動いているような臨場感を読者は感じることができます。読んでいて止まらないのも、この影響かもしれません。
ギフトゲーム詳細
『造物主達の決闘』
・主催者
”サラマンドラ”
・参加コミュニティ
全二十四名
・ゲーム概要
一、予選は一試合で三人が一斉にぶつかり合う。
二、最後まで失格しなかった一人が予選通過。
・勝利条件
一、対戦者がリングから落ちた場合。
二、対戦者のギフトを破壊した場合。
三、対戦者が勝利条件を満たせなくなった場合(降参含む)
・敗北条件
一、参加者がリングから落ちた場合。
二、参加者のギフトが破壊された場合。
三、上記の勝利条件を満たせなくなった場合。
TIPS
《護法十二天》
帝釈天(インドラ:東)、火天(アグニ:東南)、焔魔天(ヤマ:南)、羅刹天(ラークシャサ:西南)、水天(ヴァルナ:西)、風天(ヴァーユ:西北)、毘沙門天(ヴァイシュラヴァナ:北)、伊舎那天(イシャーナ:東北)、梵天(ブラフマー:天)、地天(プリティヴィー:地)、日天(スーリヤ:日)、月天(チャンドラ:月)
日天スーリヤと月天チャンドラは天体を司る九曜にも表れます。
《混世魔王》
「西遊記」に登場し、花果山水簾洞の真下にある坎源山水臓洞に棲み、山中の小妖怪達を支配していた妖怪。
孫悟空が仙術のために水簾洞を留守にしている間、混世魔王はその隙に手下を連れて水簾洞を占拠しようとします。戻ってきた悟空はその話を聞くと、すぐさま水簾洞へ突入し、混世魔王を急襲。混世魔王は悟空の作り出した分身に気を取られている隙に刀を奪われ、逆に自分が切り裂かれてしまいます。
《鍛冶神・ヘパイストス》
ギリシャ神話に登場する神で、炎と鍛冶を司る。自分の工房で様々な武器、道具、宝を作っているとされ、インド神話の火の神”ヤヴィシュタ”に由来するともいわれています。ゼウスとヘーラーの息子で第一子。
《パラダイムシフト(歴史の転換期)》
その時代や分野において当然のことと考えられていた認識や思想、社会的な価値観が革命的もしくは劇的に変化すること。例として、天動説から地動説への動きなどが相当します。
《ソロモンの霊王》
ユダヤ王のソロモンが悪魔を使役したという伝承がもとになっているとのこと。ビレト、ベリアル、アスモダイを筆頭に、七十二柱の悪魔を従えたと言われ、ヨーロッパの悪魔学に登場します。
《ウカノミタマノカミ》
『古事記』では宇迦之御魂神、『日本書紀』では倉稲魂命と表記されます。名前の「ウカ」は穀物・食物の意味で、穀物の神とされています。両書とも性別が明確にわかるような記述はありませんが、古くから女神とされています。伏見稲荷大社の主祭神であり、稲荷神(お稲荷さん)として広く信仰。
『マハーバーラタ』は、古代インドの宗教的、哲学的、神話的叙事詩。ヒンドゥー教の聖典のうちでも重視されるものの1つで、グプタ朝の頃に成立したと見なされています。「マハーバーラタ」は、「バラタ族の物語」という意味であり、もとは単に「バーラタ」でした。「マハー(偉大な)」がついたのは、神が、四つのヴェーダとバーラタを秤にかけたところ、秤はバーラタの方に傾いたため。 『ラーマーヤナ』とともにインド二大叙事詩と称され、インド神話を構成する重要な文献の一つ。また、世界3大叙事詩の一つともされる(他の二つは『イーリアス』『オデュッセイア』)。
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