ガガガ文庫「先生とそのお布団」の魅力をご紹介!
ガガガ文庫の新作「先生とそのお布団」!
作品の魅力について、ネタバレなしでレビューさせていただきます。
先生とそのお布団って?
著者:石川博品
イラスト:エナミカツミ
まだ「何者」にもなれない「誰か」へ――。
これは石川布団という青年と、人語を解す「先生」と呼ばれる不思議な猫とがつむぎ合う苦悩と歓喜の日々。布団はさまざまな挫折と障害に揉まれながら、それでも小説を書き続ける。ときに読者に励まされ、ときに仲間に叱咤され、素直に、愚直に、丁寧に、ときにくじけて「先生」に優しく厳しく叱咤激励されながら――。
これは、売れないライトノベル作家と「先生」とが紡ぎ合う、己が望む「何か」にまだ辿り着かぬ人たちへのエール。優しく、そして暖かな執筆譚。カクヨムで話題を呼んだ同名短編小説を、大幅加筆修正した完全版。
言葉選びがお洒落な作品
本作をカクヨムで読ませていただいた際、言葉選びが非常にお洒落だったことが、強く印象に残っています。
作品全体に漂う穏やかで暖かな雰囲気を壊さないような、絶妙な言葉の選択。シンプルな文章にも関わらず、読み手側に情景を色鮮やかに伝える文章力と表現力は、まるで歌のようでした。
この物語は読み始めると止まらず、クセになる作品です。
夢を追い求める人たちへ向けたエール
ライトノベル作家の石川布団は、デビューしたものの作品が売れず、次の作品もなかなか刊行できない状態。年下の才能あふれる小説家が次々と魅力的な新作を生み出していくのを見て、布団自身は長らく停滞したままの自分に焦りを覚えます。
猫の「先生」に励まされながら、何度も挫折しつつも、少しずつ少しずつ前に進んでいく石川布団の姿は、夢を追い求めている人たちへ勇気を与えてくれるはずです。
急激な展開はなく、売れないライトノベル作家の生活を緩やかに描いた作品。カクヨム版を読了後、本作から”温かな勇気”を貰いました。
カクヨム版リンク
ガガガ文庫から刊行される書籍版は、カクヨムに掲載された短編を大幅に加筆修正されているとのことで、どんなエピソードが追加されているのか楽しみです。
以上、本作の魅力をご紹介させていただきました。
非常に読みやすい上、心に響いてくる作品ですので、是非お試しいただければと思います。
今回も長文をお読みいただきまして、ありがとうございます。