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《内容ネタバレ》「ラストエンブリオ」2巻をレビュー!!

竜ノ湖太郎先生の問題児シリーズ第二部となる「ラストエンブリオ」!

今回は2巻となる「ラストエンブリオ~再臨のアヴァターラ~」についてレビューします。

※2巻の内容ネタバレを含みますので、ご注意ください。

ラストエンブリオ (2) 再臨のアヴァターラ (角川スニーカー文庫)

2巻内容ダイジェスト

ギリシャからフェリーで地中海を渡る十六夜御門プリトゥの三人。ミノタウロス誕生の地であるクレタ島に、箱庭に戻るヒントを探しに向かいます。

一方、アンダーウッドでは天の牡牛が猛威をふるいます。鈴華はギフトゲーム攻略の為、過去のゲームについて書物で調査。焔は星辰粒子体の根幹であるアストラルフィラメントの摘出元が”天の牡牛”である可能性を思い当たり、太陽主権戦争のゲームに前向きに取り組むことにします。

今回の事件、台風として”天の牡牛”が召喚され、欧州諸国に深刻な被害を与えています。更に、台風の通過後には人体は勿論、作物にも天然痘類似の症状を起こす新規ウイルスが流行。これらの事実から、焔たちはクレタ島の王族アステリオス天然痘を発症し、容姿を大きく変貌させてしまう。感染を抑えるために迷宮に幽閉した』という、ミノタウロスの逸話と繋がる解釈に気付きます。

その頃、ミノタウロスは全身を痛みに襲われていました。焔が星辰粒子体の実験でアストラルフィラメントを組み込んでいた家畜を食べたため、彼の変異の原因である天然痘が治療され”アステリオスに戻りつつある状況。そんな彼の元を訪れたジンは、ペストに依頼して彼の痛覚を取り除き、対話を試みます。アステリオス”助かりたければ西郷焔に会え”というキーワードに従って行動していることを知り、ジンは彼に協力することにします。彼らは星獣である白額虎と合流し、精霊列車”サン=サウザンド”号に乗っている焔を強襲します。

鈴華バリスタをアポート&アスポートによって転移させ、多角的な攻撃を敵にしかけて時間稼ぎをします。その間に、焔と彩鳥は、”クイーン・ハロウィン”へと面会。彩鳥は女王と師匠であるスカハサに挨拶し、ギフトカードを受取ります。また、焔は”敵の詳細”を女王に要求し、対価として”残りの太陽の主権者の情報”を渡すという交渉を開始。焔は星辰粒子体を狙っている集団にいくつか心当たりがあり、それらは”=太陽主権戦争に関連する派閥”であると推理。女王は焔がスカハサに師事することを条件に、交渉を受け入れます。

スカハサより、敵は”アヴァターラ”という太陽の王群コミュニティであることを聞かされた焔。彼らの狙いは星辰粒子体であり、粒子体の持つ環境改善機能を駆使してテラヒーリングし、砂漠化や大気汚染、地球温暖化を改善するという計画が関連しているといいます。その散布施設の候補地は赤道上が最も好ましいため、”星辰粒子体””太陽主権”の関係が少しずつ見えてきます。

鈴華に疲労が見られたころ、増援として彩鳥が合流。更に敵にも申公豹が応援に駆け付けます。アステリオスも本来の武器である”ラブリュス”を取り出し参戦。しかし、フェイス・レス時代の近距離の槍、中距離の連接剣、遠距離の剛弓を取り戻した彩鳥に申公豹とアステリオスは翻弄されます。戦闘により精霊列車は落下するも、スカハサの”影の城”で保護され無傷で着地に成功します。

クレタ島に到着した十六夜たち。クレタ島の遺跡クノッソス宮殿へと侵入します。先行して偵察に出ていたグリーから、”箱庭への出入り口”があることと、かなりの手練れが待っていることを聞きます。クノッソス宮殿から箱庭へ侵入した十六夜と御門は、迷宮の祭壇に到着。そこには、グリーに手傷を負わせた”アヴァターラ”の一味である牛魔王世界王アルジャナに阻まれ、牛魔王と十六夜、アルジャナと御門が戦闘を開始します。早々に戦いを切り上げ、十六夜に焔たちを助けに行くように言う牛魔王。また、御門はアルジャナに敗れるも、眷属の黒ウサギがアルジャナを撃退します。

精霊列車ごと迷宮へと落下した焔たちは、追ってきたアステリオスと対峙。焔はアステリオスが”ミノタウロス”ではないことを告げます。すると迷宮内の”両刃斧”の紋様から牛頭が次々と出現し、二十頭を越える勢いに。援軍に駆け付けた十六夜の助けられつつ、三人は精霊列車に逃げ込みます。

焔たちは、クレタ島において牛は信仰厚い生き物であり、かつアステリオスの年齢が若すぎることから、以前焔たちが推理した内容では矛盾が生じることに気付き、アステリオス「若くして天然痘を患い生贄となったクレタ島の王子」ミノタウロス「アステリオスの王墓」という解を導き出します。アステリオスは罪のない子供だと知った焔たちは、彼を救うことを決意。焔は”疑似神格・星牛雷霆”を使い、牛頭たちを殲滅。ゲームをクリアします。

アステリオスを従者とした焔は、太陽主権戦争への参戦を決めます。現世のクレタ島にて焔たちはバカンスを楽しみます。その後、焔は第三学部研究室のカーラ=グリームニル室長と、エドワード=グリームニル開発部長と面会。今回の事件全てがエヴリシングカンパニーの自作自演ではないかと問いただします。結果、同社はシロだとエドワードに答えられ、真の敵と戦うために研究を続けることを決心します。

ギフトゲーム詳細

『minotaur the throne in labyrinth』

参加者一覧:逆廻十六夜

参加資格①:太陽の主権(赤道・黄道不問)を一つ以上所持している。

参加資格②:太陽神直系の血縁である。或いは太陽に纏わる功績がある。

※注意事項

此方の太陽主権予選ゲームはアナウンスなしに中断する可能性があります。これは全ての予選に該当する注意事項なので予めご了承ください。

勝利条件①:”迷宮の怪物”の討伐

勝利条件②:ラブリュスの迷路を解き明かし、全ての牛頭を破壊せよ。

TIPS

《星辰粒子体の寄生増殖》

ナノメートル単位のアストラルフィラメントが束状になって体組織に取り付き、ゲノム情報を採取して本人の遺伝子に同調し、フィラメントを少しずつ解いて細胞に組み込んで体内分裂していく機能。取り付いた先のゲノム情報に依存する為、オリジナルからは変質してしまうものの、摘出して医療に使用することなどは可能。

星辰粒子体の根幹がこの”アストラルフィラメント”であり、オリジナルのアストラルフィラメント、通称”原典”は摘出元が不明なため、量産が難しい状況。

ただ、仮に”原典を変質させない特異な体質の人間”がいた場合、大量生産は可能となります。

《白額虎》

封神演義に登場し、人語を理解し仙界最速の速度で空を飛ぶことができます。

《スカハサ》

スカアハはアードガムの娘で、『アルスター伝説』に登場する予言の力を持った女武芸者。スカハ、スカト、スカーサハ、スカータハなどとも呼ばれます。名前は「影の者」という意味を持ち、 7つの城壁に囲まれた「影の国」という名の異界を統べる女王。スキュエ島がその崇拝の中心地であり、呪術師でもあるがむしろ武芸に秀でているといわれます。オイフェのライバルで、ウアタハという名の娘と、二人の息子がいます。

クノッソス宮殿

ギリシャクレタ島にある青銅時代最大の遺跡。ミノア文明下で、儀式や政治の中心であったと考えられています。宮殿の一辺は160m以上あり、部屋は1200個以上、部分的には4階建ての建造物すらもあったとされます。後のミケーネ文明のものを遥かに凌ぐ規模を持つこの宮殿の最大の特徴は何よりも中央広場で、この広場とそれを囲むようにして重要な施設が配置されている宮殿の構造は、高度な官僚機構と強い王権の存在を示しています。

《世界王》

クールマは、インド神話に登場する亀でヒンドゥー教の主神ヴィシュヌの第2の化身(アヴァターラ)とされます。 乳海攪拌の際、攪拌棒に用いられたマンダラ山を海底で支えました。 もともと『マハーバーラタ』ではマンダラ山を支えたのは長寿で知られる亀王アクーパーラで、ヴィシュヌ信仰とは関係がなかったですが、『ラーマーヤナ』以降、ヴィシュヌ神の化身である亀とされるようになりました。

《太陽の王群コミュニティ”アヴァターラ”》

古代インド神群にて語られる太陽の十化身。全員が隔絶した恩恵を所有する神霊・王族であり、それぞれの時代で栄光を手にし、天下泰平の使命を帯びています。以下三人が最高戦力。

第一の化身:”箱舟”

第二の化身:”世界龍クールマ”

第九の化身:”解脱者シッダールタ”

《申公豹》

封神演義に登場。中国の明の時代に成立した、新しい神話の一つ。新旧の道教神や神仙が入り混じって戦ったという”封神演義”は、時代検証が不確かなものとして語られています。封神の戦争が激化していく中、数多くの者を陥れて乱世を拡大させた申公豹という人物は、先にも後にも”封神演義”のみしか登場しない謎の多い仙道の一人です。

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