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《内容ネタバレ》「問題児たちが異世界から来るそうですよ?」4巻をレビュー!!

竜ノ湖太郎先生の問題児シリーズについて、4巻をレビューしていきます!

問題児たちが異世界から来るそうですよ?」~十三番目の太陽を撃て~について、内容のネタバレと考察をしていきます!

※4巻のネタバレを含んでいますので、ご注意ください。

問題児たちが異世界から来るそうですよ? 十三番目の太陽を撃て (角川スニーカー文庫)

4巻内容ダイジェスト

敵から奪ったはずの黄金の竪琴が音を奏で始め、龍の純血種と巨人族の大軍がアンダーウッドへ再び襲撃してきます。突如始まるギフトゲーム"SUN SYNCHRONOUS ORBIT in VAMPIRE KING"に耀たちは狼狽。

北と東も含めて"階層支配者"を狙い撃ちするような敵の戦術に、"龍角を持つ鷲獅子”のサラが唇をかんでいると、”ノーネーム”の十六夜が戦場に現れ巨人族の殲滅を開始。更に崩壊しかけた味方の部隊も十六夜が鼓舞することで、何とか戦線を守り切ることに成功します。

黒ウサギの"審判権限”の発動が受理され、ゲームを中断し審議に入る両軍。十六夜たちは、東西南北の”階層支配者”を狙う敵の目的は、"全権階層支配者"の権限を得ることだと予想。”全権階層支配者”となれば、暫定四桁の地位と、太陽の主権の一つを得て、東西南北の”階層支配者”を選定する権利を与えられるとのこと。更に状況の把握を進めていると、耀が敵の本陣に乗り込んだことが判明します。

耀は敵本陣の城で"六本傷"のガロロ=ガンダックキリノ、ジャック、アーシャたちと行動を共にしていました。ガロロは耀の苗字である”春日部”に何か思い当たる節があるようですが、確信は得ていない様子。

耀は”SUN SYNCHRONOUS ORBIT"は「太陽同期軌道」、すなわち人工衛星の軌道を表す言葉になることに気付き、ゲームが”太陽”や”軌道”に関係するものであると確信。更に”獣帯”は「黄道の十二宮」を示すことをジャックから聞いた耀は、第三の勝利条件”砕かれた星空を集め、獣の帯を玉座に捧げよ”は「獣帯によって分割された十二の星座を集め、玉座に捧げろ」という意味だと解読に成功します。

十六夜たちは、地上での防衛部隊と、敵本陣への強襲部隊の二つに戦力を分けることに。飛鳥も強襲部隊に加わると進言するも、実力不足のため地上の防衛に回ることになります。

強襲部隊の十六夜グリフォンのグリーと共に敵本陣へ向かいます。そこへ、魔王レティシア=ドラクレアの影が現れて部隊を奇襲。サラを庇った十六夜は左肩を負傷してしまいます。十六夜は他の強襲部隊を撤退させ、グリーと二人でレティシアと戦うことを選びます。

地上では黒ウサギとリン、”来寇の書”を持つ黒ローブのアウラとペストがそれぞれ戦闘を開始します。アウラが”バロールの死眼”によってペストの黒死病を無効化し、巨人族の部隊は復活。黒ウサギは、物体と物体の概念的な”距離”を操るリンに攻撃を当てることができず、苦戦します。

地上で”バロールの死眼”が使われたのを見た十六夜とグリーは魔王レティシアの影の強行突破を選択。グリーの翼を捥ぎ取られつつも、敵本陣に辿り着くことに成功します。着陸後、十六夜はグリーの翼の借りを返すため、魔王レティシアの影を殴って消し飛ばしてしまいます。

第三の勝利条件を解読した耀ですが、クリアに近い回答をしたため、審判権限でストップしていたゲームが再開龍の純血種も再始動してしまいます。もう一度、問題を再考した耀は、蠍座と天秤座の間にある十三番目の星座が存在することに気付きます。

アウラに苦戦するペストと飛鳥、サラ。戦況を覆すため、ペストが”バロールの死眼”を乗っ取る計画を立てます。アウラの隙を突いて飛鳥がディーンで道を切り開き、ペストが”バロールの死眼”に迫ります。追い詰められたアウラは”バロールの死眼”を割って、リンと共に戦場から逃亡します。

耀と合流した十六夜は”蛇使い座”のピースを使って第三の勝利条件をクリア。しかし、龍の純血種を止めなければ天蓋が開放されてレシティアが死んでしまうことが分かり、耀と十六夜巨龍を倒すことを決意。耀の”生命の目録”で生み出したペガサスのブーツで龍に接近し、十六夜の光の柱によって心臓を撃ち抜くことに成功します。

飛鳥と耀の成長が著しい

飛鳥のギフト”威光”にはギフトの極大化効果があることが分かり、凡百のギフトでも神格レベルの出力を実現可能に。ただ、ギフトの寿命が早く尽きてしまうため、金銭的には優しくない能力です。

また、耀の”生命の目録”は幾千万のゲノムから系統樹を組み上げ、幻獣たちの力を顕現させて自身の装備とすることができる能力で、既にかなり使いこなせている様子です。

十六夜が最初から強くて未だに底が見えない主人公なので、女性陣二人組が試行錯誤して少しずつ強くなっていく様子は見ていて面白いです。

TIPS

《太陽の主権》

黄道の十二宮”と”赤道の十二辰”の合計二十四に分割されています。

黄道の十二宮”:白羊、金牛、双子、巨蟹、獅子、処女、天秤、天蠍、人馬、魔羯、宝瓶、双魚の十二星座

メソポタミアが起源で、天秤座を除けばシュメール時代まで遡ります。メソポタミアで星占を行っていた神官によって設定されたものとされています。

赤道の十二辰”:鼠、牛、虎、兎、龍、蛇、馬、羊、猿、鶏、狗、猪の十二辰

古代中国天文学の天球分割法の一つで、天球を天の赤道に沿って東から西に十二分割したもの。各辰の呼び名には十二支が当てられ、太陽、月、惑星や運勢を説明する為の座標系として使用されました。

《全権階層支配者》

暫定四桁の地位、太陽の主権の一つ、東西南北の”階層支配者”の任命権を持つ。過去、就任した例は白夜叉レティシア=ドラクレアの二名のみ。

《フェイ》

湖の乙女”:アーサー王伝説に登場し、エクスカリバーを彼に与えた人物。また、ランスロットの育ての親でもあります。ベイリン卿に殺害されるも、その後の物語に登場し続けることから、複数を指す単語の可能性もあり。

モリガン”:北アイルランド破壊、殺戮、戦いの勝利をもたらす戦争の女神。支配や権力を神格化したもので、予知と魔術で戦場を支配し、ケルト神話の三女神で戦女神の一柱。

かぶり姫の”小さな魔法使い”:”灰かぶり”はシンデレラの物語のことですが、グリム童話には魔法使いは登場しません。ペローによるサンドリヨンの方が本作の解釈に近い可能性があります。

マクスウェルの悪魔

スコットランドの物理学者であるジェームズ・クラーク・マクスウェルが提唱した思考実験のこと。分子の動きを観測できる架空の悪魔を想定することによって、仕事をせずに熱力学第二法則で禁じられたエントロピーの減少が成り立つとした。

ラプラスの悪魔

近代の物理学で未来の決定性を論じるときに仮想された超越的存在の概念。フランスの数学者ピエール=シモン・ラプラスによって提唱されています。

具体的には、世界に存在する全ての原子の位置と運動量を知ることができるような知性が存在すると仮定すれば、その存在は、古典物理学を用いれば、これらの原子の時間発展を計算することができるだろうから、その先の世界がどのようになるかを完全に知ることができるだろう。という仮説です。

 

以上、今回は4巻のネタバレとレビュー及び考察を記事にさせていただきました。長文をお読みいただきましてありがとうございます。

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