「冴えない彼女の育てかた」最終13巻発売まで魅力を語ります!vol.1
10月20日に富士見ファンタジア文庫から最終刊(13巻)が発売される「冴えない彼女の育てかた」!
発売日まで、本作の魅力を順次ご紹介していきます!第1回となる今回は、本作のメインヒロインである加藤さんの感情分析の面白さについて紹介します。
※魅力紹介の為、ネタバレありになっています。ご注意下さい。
冴えない彼女の育てかたって?
著者:丸戸史明
イラスト:深崎暮人
これは俺、安芸倫也が、ひとりの目立たない少女をヒロインにふさわしいキャラとしてプロデュースしつつ、彼女をモデルにしたギャルゲームを製作するまでを描く感動の物がた…「は?なんの取り柄もないくせにいきなりゲーム作ろうとか世間なめてんの?」「俺にはこのたぎる情熱がある!…あ、握り潰すな!せっかく一晩かけて書き上げた企画書なのに」「表紙しかない企画書書くのにどうして一晩かかるのよ」「11時間寝れば必然的に残った時間はわずかに決まってんだろ」「もうどこから突っ込めばいいのよ…このっ、このぉっ!」…ってことで、メインヒロイン育成コメディはじまります。
メインヒロインの感情分析が面白い!
本作のメインヒロインは加藤恵というキャラクターで、主人公の安芸くんたちから「キャラが死んでいる!」と言われているように、存在感がなく表情も乏しい、殆ど感情が読めない人物です。実際、加藤さんの感情らしい描写が初めて出るのが原作6巻の終盤、主人公に対する怒り(怒ったように見えた)でした。
今回ご紹介する本作の魅力は、「加藤さんの感情を原作の様々な描写から推察する面白さ」です。
先も書きました通り、加藤さんは存在感がないため、原作序盤ではほとんど感情を読み取れるような描写がありません。しかし、本人のセリフ以外も含めて読み込むほど、加藤さんの殆ど見えていない感情が見えてくることがあります。ひとつ発見するとその面白さが癖になり、他にもないか探してしまう…。そんな中毒性のある魅力がこの作品にはあります。
当初意見が分かれた6~7巻時点での恋愛感情
感情分析の面白かった例として、7巻で安芸くんと加藤さんが仲直りする際、自分への恋愛感情について安芸くんが加藤さんへ尋ねるシーンがあります(アニメなら2期の8話)。ここで加藤さんは否定しますが、その時点で恋愛感情が全くなかったのかどうかを考えてみましょう。
「ものすごくまさかと思って聞くけど、加藤が今まで俺に対して怒ってたのってさ、俺と英梨々が最近仲がいいことに対して色々と思うところがあったりとか、なんだか消えない棘が残ってたりとか、二人が並んで歩く姿を見てたらこんなふうに爪を立てて拳を握りこんでたりとか、そういうことじゃないよな?」
「……………………………………………何言ってるの安芸くん」
「だよなっ!だよなぁぁぁぁぁ~~~!!!」
上記が7巻での2人のやり取りを抜粋したものになります。
表面上では安芸くんから嫉妬を疑われて完全否定する加藤さんの図ですが、この段階での加藤さんの感情を推察すると面白いです。
6巻でサブヒロインの英梨々に気持ちが傾き、加藤さんを頼らずに一人で問題を自己解決してしまった安芸くん。これに対して、「なぜ私に相談しなかったのか?」と一人で解決したことを怒る加藤さん。「英梨々に気持ちが傾いたこと」に対しての怒りは上記会話で表面上否定していますが、実際はどうなのでしょうか?
1巻から6巻まで、加藤さんの恋愛感情らしきものが見える描写はほぼないと言っていいレベル。ですが、セリフや描写はなくても、常に加藤さんは安芸くんの傍で彼を支えようと行動していますし、そのポジションをそれなりに気に入っているような描写もあります。
これらから、5巻までの時点である程度恋愛感情の芽のようなものが加藤さんの中に生まれていると考えられ、本人は否定しましたが、6巻で「サブヒロインへ主人公が傾いたこと」に対しても嫉妬と怒りの感情があることは読み取ることができます。
このエピソード時の加藤さんの感情については、のちに外伝のGS3で掘り下げられ、アニメ2期の最終話で暗に答え合わせもされています。
①主人公(安芸)が仲間に正直に話さず一人で決断したこと
②本当は、親友(英梨々)が抜け駆けしたのが悪い
③主人公が親友に傾いたのが悪い
6巻で怒った原因として上記の3つのどの要素が強かったかを、GS3でサークルメンバーから聞かれた加藤さん。GS3では耳打ちで答えたため明記されませんでしたが、アニメ2期の最終話で暗にですが以下のように回答されています。
①主人公(安芸)が仲間に正直に話さず一人で決断したこと:3割
②本当は、親友(英梨々)が抜け駆けしたのが悪い:2割
③主人公が親友に傾いたのが悪い:5割
なんと、実際は5割も嫉妬していたんですね…。
本件については答え合わせがありましたが、他にも感情が不明な気になるシーンは沢山あります。セリフや態度の描写からは読み取れませんが、何度も読み返して加藤さんの行動も含めて読み取ることで、感情が少しずつ見えてくることがあります。
色々考察しながら読み返すと、その度に新しい発見のある作品ですので、既に一度読まれた方も、再度少し見方を変えて読んでいただけると楽しいかと思います。
趣味全開の記事となり申し訳ございませんでしたが、長文をお読みいただきましてありがとうございます。
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