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こ、これは…!?電撃文庫「俺を好きなのはお前だけかよ」を紹介!!

電撃文庫俺を好きなのはお前だけかよ」を紹介します!

既に2017年9月29日時点で6巻まで発売されており、私はキリが良いといわれる5巻までを一気に購入。1週間くらいかけて読み切りました!…この作品は賛否が非常に別れそうですね。

オススメな点、オススメできない点をそれぞれご紹介します。

※ネタバレを含みますので、まっさらな気持ちで本作を読みたい方はご注意ください。

俺を好きなのはお前だけかよって?

俺を好きなのはお前だけかよ (電撃文庫)

著者:駱駝

イラスト:ブリキ

俺はパンジーこと三色院菫子が大っ嫌いだ。なのに……俺を好きなのはお前だけかよ

ここで質問。もし、気になる子からデートに誘われたらどうする? しかもお相手は一人じゃない。クール系美人・コスモス先輩と可愛い系幼馴染み・ひまわりという二大美少女!! 意気揚々と待ち合わせ場所に向かうよね。そして告げられた『想い』とは! ……親友との『恋愛相談』かぁハハハ。

……やめだ! やめやめ! 『鈍感系無害キャラ』という偽りの姿から、つい本来の俺に戻ったね。でもここで俺は腐ったりなんかしない。なぜなら、恋愛相談に真摯に向き合い二人の信頼を勝ち取れば、俺のことを好きになってくれるかもしれないからな!
ん? 誰が小物感ハンパないって?  そんな俺の哀しい孤軍奮闘っぷりを、傍で見つめる少女がいた。パンジーこと三色院菫子。三つ編みメガネな陰気なヤツ。まぁなんというか、俺はコイツが嫌いです。だって俺にだけ超毒舌で、いつも俺を困らせて楽しんでいるからね。だから、コイツとは関わりたくないってわけ。なのに……俺を好きなのはお前だけかよ

この作品ラブコメじゃないと思うのですが…

主人公やその周囲の恋愛模様をコメディタッチで描くような作品を希望してこの作品を買ってしまうと、後悔すると思います(私はしました)。この作品の魅力は「友情と裏切り」がギャップを付けて描かれているところにあり、高校生の不器用な恋愛をニヤニヤしながら見守るような物語ではありません

特に1巻では、一見テンプレートなキャラクター達がそれぞれ「裏に本音」を持っていて、徐々にそれが明らかになっていきます。ラブコメライトノベルをあまり読まない方の場合はそこまでキャラクターたちの裏切り行為に意外性はないかもしれません。しかし、ブコメのテンプレをある程度知っていて、ライトノベルをよく読んでいる方ほど、キャラクターたちの裏切りっぷりに驚く仕組みになっていると感じました。

内容については一応恋愛絡みの話題にはなっていますが、登場人物全員の性格が悪すぎて笑えないんですよね…。ブリキ先生のイラストで表面上はラブコメ感を出していますが、中身は結構「ヒトの表と裏の顔」が生々しく描かれています。ラブコメとしてではなく、高校生同士の人間関係について闇の部分もしっかりと描いている作品として見れば、面白い作品だと思います。

「頭脳戦」要素が入ったときは面白い

ライトノベルのラブコメの場合、ヒロイン含めてレギュラーとなる登場人物たちは善人が多く、たまに性格が悪い人がいてもヘイトが貯まりすぎないように管理されています。これは、ヘイトが貯まりすぎたキャラクターは共感されにくく、ラブコメ主人公やヒロインとして使いにくいからだと思っています。

ただ、本作の場合は登場人物のほぼ全員について性格の闇の部分も描かれており、再起不能なレベルでヘイトが貯まります。ここまでヘイトが貯まると、登場人物への共感が薄くなるため、もしこの作品で普通にラブコメをやってもつまらなくなってしまいます(実際2巻、3巻はラブコメ傾向が強いため、少し微妙に感じました)。

この作品が面白くなるのは、キャラクター同士が策を仕掛け合ったり、駆け引きをおこなったりと「頭脳戦」の要素が取り入れられたときです。キャラクターに共感できなくても、策を予想したり駆け引きを楽しんだりすれば楽しめるからだと思います。1巻もこの要素が入っていたため、作品として面白く感じました。

こ、この展開は好みじゃなかったなぁ…

4巻と5巻については上下巻の構成となっています。ただここで、私のあまり好きでない展開が…。他校に在籍する主人公の上位互換のようなモテモテ主人公が登場します。メインヒロインのパンジーをかけて、主人公と勝負することになるのですが…。以前他の記事でも書きましたが、主人公よりもスペックが高くモテモテなライバルキャラクターが登場した時に、安易に主人公の咬ませ犬として使い捨てられてしまうような展開が苦手で…。これは好みの問題なので、人によるとは思いますが。

まとめると

本作についてはラブコメとしてではなく、キャラクターの表と裏の顔のギャップと、キャラクター間の駆け引きを楽しむ気持ちで読めば楽しい作品かと思います。ただ、クセが強い作品なので、人に自信をもって勧められるかといえば難しいだろうなぁといった印象です。正直に言うと、5巻まで一気に買ったのは少し後悔しました…。ただ本作の1巻は単独で話がまとまっていますし、1番面白いと思った巻ですので、気になる方はまず1巻を買ってお試しいただければと思います

今回も長文をお読みいただきましてありがとうございます。