ソク読みライトノベル

ライトノベルレビューの専門サイト

《内容ネタバレ》「幼馴染の山吹さん」をレビュー!!

電撃文庫「幼馴染の山吹さん」!

1巻をネタバレありで、レビューさせていただきます。

※ネタバレを含みますので、作品未読の方はご注意ください。

※ネタバレなしの紹介をご希望の場合は、以下の記事をご覧ください。

tino-review.hatenablog.com

幼馴染の山吹さん (電撃文庫)

1巻内容ダイジェスト

青葉喜一郎は小学生の頃、クラスメイトの男子から揶揄われる幼馴染の山吹灯里をいつも守っていました。しかし時は流れ、二人が高校生になった時、その関係はいつの間にか疎遠になっていました

昔は守るべき女の子だった山吹は、今では”自他ともに認める世界一かわいい女の子”へと成長。数多の男子から言い寄られるも、彼女は全ての告白を断っていました。そんなある日、校内の桜の木の下で、彼女は”青春の呪いをかけられてしまいます。

山吹にかけられた”青春の呪い”は、「不干渉の呪い」と呼ばれ、くしゃみをすると、二時間程度物に触れたり干渉したりすることが出来なくなるものでした。偶然にも彼女が呪いにかかるところを目撃した青葉は、呪いを解くべく、彼女と共に青春ミッションへ挑みます

呪いの精霊、白熊猫小春から告げられる最初のミッションを実行する二人。「夕暮れの廊下を、手を繋いで誰にも見つからずに端から端まで歩く」というミッションでは、途中掃除用具箱に二人で隠れるなどのハプニングはありつつも、なんとか達成します。

次のミッション「夜のプールに忍び込んで、二人で楽しく遊ぶ」が小春から伝えられた際、二人は”記憶”についての注意事項も併せて知らされます。それは、この青春ミッションを全て完了させると、”青春ミッション”に関する記憶は全て消えるという内容でした。

記憶に関する注意事項について、今考えても仕方のないことと割り切った二人は、早速夜の学校のプールに忍び込み、ミッションを遂行。制服のまま二人はプールに入り、水遊びをして青春のひと時を過ごすことで、ミッションを達成します。

最後の青春ミッションは、「二人の過去からの想いをお互いに共有すること」。共有すべき”過去からの想い”に見当をつけるため、二人はショッピングモールへデートに出掛けます。

山吹の希望でらーめんを食べ、スポーツ施設で卓球を楽しみ、ゲームセンターでプリクラを撮る二人。デートを楽しんでいると、近所の七夕祭りのチラシを見かけます。遠い昔、幼馴染の二人は手を繋いで、誰もいない神社の境内の笹に短冊を引っかけたという大切な思い出。二人は、今年の七夕祭りへ一緒に出掛けることを約束します。

デートの終盤、山吹は、疎遠になった原因について青葉に尋ねますが、明確な答えはもらえませんでした。結局、そのままデートは終了し、帰宅することにする二人。帰り道の途中、山吹が車に轢かれそうになるのを、青葉は身を挺して庇います。青葉の身体を心配しつつ、何故いつも自分を助けてくれるのかを問う山吹さんに対し、青葉はまた曖昧な言葉でごまかします。

休み明け、ちょっとしたすれ違いからケンカに発展してしまった二人。小春は、”自分の気持ちを相手に言葉で伝えること”の大切さを青葉に語り、怒って帰ってしまった山吹を追いかけるように助言します。

青葉は、山吹のことが一番大切であること、山吹が”青葉の彼女”と勘違いしていたのは妹であることを言葉にして伝え、二人の気持ちが通じ合います。それにより、全ての青春ミッションはクリアされ、二人の”青春ミッション”に関する記憶が失われることに。「灯里ちゃんがピンチになったら、僕が絶対に助けに行く」という大切な約束を確認し合い、二人の記憶は奪われてしまいます。

山吹が呪いを受ける前の疎遠な関係に戻った二人は、いつも通りの生活を続けます。しかし、何か心に引っかかるものを覚えた青葉は、七夕祭りの日、誰もいない神社の境内へと向かいます。

そこには、同じく何か引っかかりを感じていた山吹も訪れており、驚いた二人は思わず昔のあだ名で呼び合います。何かは分かりませんが、何かを知っているという確信。そこへ、呪いの精霊である小春が現れ、”魂のこもった青春は、そうたやすく滅んでしまうものではない”と、ドイツの詩人の言葉を二人へ贈ります。

すべては忘れ去られた物語。けれど、滅ばなかった物語。二人の青春は、再び始まります。

王道ゆえに心に響くストーリー

疎遠になってしまった世界一可愛い幼馴染のピンチを、普通の男の子が子供の頃の約束を守って救い、再び心を通わせるという王道の展開。王道の道筋の上で、一つ一つの青春エピソードが丁寧に描かれており、しっかりと心に響く物語となっていました。

複雑な伏線や展開を駆使した作品も良いですが、王道をしっかりと描き切った作品もまた良いものだと、読者に感じさせてくれる物語です。

その後の物語について

今回のエピソードで、青葉と山吹の関係にはある程度の決着がみられたと思います。続編としては、二人が更に歩み寄っていくエピソードも良いかもしれませんが、管理人的には、小野塚つばさ、桐山秋人、青葉沙知など他のキャラクターへスポットをあてた物語も読みたいように感じています。

今回のサブキャラクターたちが、山吹とはまた別の”青春の呪いにかかり、青葉と山吹の助けを借りつつ、青春を謳歌するような物語が読んでみたいと思いました。

 

今回は電撃文庫の新作「幼馴染の山吹さん」について、ネタバレレビューをさせていただきました。

読者側に大きなストレスを与えない、王道のシンプルな恋愛作品となっていますので、興味がある方は是非ご覧になってください。

今回も長文をお読みいただきまして、ありがとうございます。