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《内容ネタバレ》「グランクレスト戦記」2巻をレビュー!!

富士見ファンタジア文庫グランクレスト戦記」シリーズ!

2巻についてレビューさせていただきます。

※2巻のネタバレを含みますのでご注意ください。

※ネタバレを希望されない方は、以下の作品紹介記事をご覧ください。

tino-review.hatenablog.com

グランクレスト戦記 2 常闇の城主、人狼の女王 (富士見ファンタジア文庫)

2巻内容ダイジェスト

騎士の爵位のみを残したテオと、契約魔法師のシルーカはアルトゥークの城へと入城。テオはヴィラールの近衛として傍に控えることになり、シルーカは他の契約魔導士たちとの顔合わせを済ませます。

数日後、小大陸ダルタニアの太子ミルザー・クーチェスを迎えての晩餐が開かれます。ミルザーはテオの野心のない行動を非難しますが、人心を掴む未知の魅力に興味を惹かれ、しばらくアルトゥークに滞在することにします

テオから爵位を預かっているラシックは、契約魔法師のモレーノと共に、セーヴィスの領土へと侵攻。セーヴィス王ナヴァルは前回の戦いで討ち取っているため、彼らは難なく制圧に成功します。ラシック達へ一矢報いるため、ナヴァルの一族は自害して混沌濃度を上げ、トロールを召喚。苦戦するも、ラシックがトロールを撃破し、聖印に吸収して勝利します。

シルーカは魔法師長マルグレットに命じられ、魔女の長老ゼルマ、人狼の女王クララ、吸血鬼の王ディミトリエを順に訪問することに。ゼルマは、常闇の森で昔、魔女と人狼、吸血鬼が女君主アデーレと協力して、デーモンロードを倒したこと。その英雄アデーレは、デーモンロードに魅せられて闇に堕ち、その後魔王としてエーラムに攻め込んでしまった逸話をシルーカへ話します。アデーレが魔王に堕ちた時の混沌儀の動きと、現在の混沌儀の動きがにているため、ゼルマはシルーカへ注意を促します。

人狼の女王クララに歓迎されるテオたち。そんな中、ヴァルドリンドの騎士たちが、人狼を襲っているという情報が女王の元へ届きます。テオたちは女王に協力を申し出て、近隣の連合君主との連携を開始します。

テオは近隣の砦や村を回ったのち、オイゲン男爵の城を訪問。アーヴィンが仕入れてきた情報により、エルマーという騎士がアルトゥークの混乱を目的に独断で動いていることを知ります。情報交換により、エルマーたちは吸血鬼の王に匿われている可能性が高いことが分かり、シルーカは吸血鬼の王の城へと向かうことにします。

吸血鬼の王ディミトリエは、地下に次元結界に封じられた魔王アデーレを匿い、その目覚めを心待ちにしていました。男爵の爵位を持つエルマーの聖印を育てて強大にすることで、魔王アデーレの次元結界を破る策を思い立ち、エルマーと協力して今回の人狼への襲撃を行ったと告白。更に、シルーカは彼から、同盟と連合の婚姻を邪魔したデーモンロードは、魔女ヤーナが召喚したという事実を聞きます。

魔女に娘を人質にとられた人狼クララは、エルマーの卑怯な策によって致命傷を負います。ヤーナによって命を奪われたクララの混沌を、エルマーは聖印に吸収。しかし、同じくヴァルドリンド騎士団のフランツはエルマーのやり方に賛同できず、彼を捨てて人狼たちへ投降します。

ディミトリエとエルマー目的が、魔王の復活アルトゥークの混乱であることをフランツから聞き出したテオは、吸血鬼の王の城へと向かいます。城でシルーカと合流し、魔王アデーレの復活を目撃。魔王アデーレは、自分自身で次元結界への封印を施したことが判明します。

魔王アデーレは、世界が極大混沌の再来となるか、秩序の時代がやってくるかするまで封印されていることを選択。ディミトリエは、永遠にアデーレと共に生きていくため、極大混沌の時代を目指すことを決意。魔女ヤーナの所属する”パンドラ”という組織に加入します。

吸血鬼の王ディミトリエが君主たちの敵となったことを伝えるため、アルトゥークへと引き返すテオたち。魔王の協力を得ることができなかったエルマーも、罪を償うべくテオに同行します。オイゲンの城に着いたのち、彼は人狼たちによって引き裂かれ、死することで混沌を彼らへと返却しました。

テオはアルトゥークの増援を従え、オイゲン男爵たちと共にディミトリエの城へと進軍。ミルザーもテオを見定めるために同行します。魔女ヤーナは取り逃がすも、大きな被害なく城の包囲を完了させます。新しい人狼の王イオンを中心とした精鋭の活躍により、ディミトリエを負傷させ、退却させることに成功。褒賞として、テオは常闇の森吸血鬼の城を、ヴィラールから貰い受けることとなりました。

敵キャラクターたちの強い”意思”と”矜持”

今回のエピソードでテオたちの敵となった、ヴァルドリンドのエルマーや吸血鬼の王ディミトリエたち。悪役ではあるものの、それぞれが自分たちの意思と矜持を持っており、活き活きとしたキャラクターとして描かれています。

マリーネへの忠誠心のために汚い手段を取ろうとも、最後には騎士の誇りを持って死んだエルマー。最愛の人と永遠に暮らすことを夢見て、混沌を目指す吸血鬼の王。それぞれの意思と矜持がしっかりと描かれていることで、物語に深く絡まって、ストーリーに奥深い味わいが出ているように感じます。

本作のように、勧善懲悪でなく、敵側のキャラクター描写も丁寧に描かれている作品は、面白いストーリーになっているものが多い印象です。

TIPS

《レイヤー》

邪紋使いや強力な混沌を聖印に吸収した君主の一部に、異世界の投影体に魅せられ、その姿や能力を模倣する者があらわれます。それらを”レイヤー”と呼び、アイシェラのヴァルキリーもその一種です。

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