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《内容ネタバレ》「ラストエンブリオ」1巻をレビュー!!

竜ノ湖太郎先生の問題児シリーズ第二部となる「ラストエンブリオ」!

今回は1巻となる「ラストエンブリオ~問題児の帰還~」についてレビューします。

※1巻の内容ネタバレを含みますので、ご注意ください。

ラストエンブリオ 1 問題児の帰還 (角川スニーカー文庫)

1巻内容ダイジェスト

五月晴れの暖かな日差しが差し込む孤児院。西郷焔彩里鈴華はエヴリシングカンパニーに提出する論文と研究所の経理報告書の提出に追われていました。結局、改竄が必要な経理報告書は期限に間に合わず、焔は御門釈天の車に乗り込んで逃亡することに。

二人の話題になるのは、南アメリカで発生した台風二十四号が、赤道を超えてヨーロッパで猛威をふるい、東へと進行しているというニュース。越えられるはずのない赤道を超えたこの台風は”天の牡牛”と呼ばれていました。さらに、”天の牡牛”が通過した国には新種のウイルスが流行しており、農産物に多大な被害を出している状況。焔は自身の開発しているナノマシンが新種のウイルスに有効だとして、実用化を急ピッチで進めています。

その後、エヴリシングカンパニー会長の娘、久藤彩鳥に捕まった二人。先ほど話題になっていた台風が接近していることもあり、早々に孤児院へ帰ることになります。

徐々に天候が荒れてきた頃、焔はQueen.Hallowe'en@ne.jp”という謎のアドレスからメールを受信するも一旦無視。台風に備えて学校に向かった鈴華の後を、彩鳥と共に追いかけることにします。

私立宝永大学付属学園に到着した焔は、飼育小屋で家畜を喰うミノタウロスと遭遇。彩鳥は怪物に挑むも、脇腹に傷を負って吹き飛ばされてしまいます。セキュリティー装置を起動させて、彩鳥と共に逃亡を図る焔。しかし、大戦斧を振り回すミノタウロスにはなすすべなく、死を覚悟します。

焔のピンチに駆け付け、大戦斧を右腕で受け止めたのは、逆廻十六夜。先に助けられていた鈴華と共に、焔と彩鳥は撤退を開始します。獅子宮の太陽主権を保有している十六夜には刃物が通じず、ミノタウロスの足止めに成功。その隙に焔は、彩鳥に第三種星辰粒子体のサンプルを投与し、脇腹の傷を回復します。その後、牛の形をした積乱雲から落雷の攻撃を受ける焔たち。追い詰められた焔は、藁にも縋る思いで謎のメールを開封します。

”クイーン・ハロウィン”からのメールを開封し、箱庭のアンダーウッドに召喚された焔たち。黒ウサギに救出され、十六夜が行方不明になったのち、”箱庭”に居たことを知ります。元の世界へと帰る方法を探すべく、メールの内容を確認すると、『太陽主権戦争の招待状』であることが発覚。焔たちは、まず”クイーン・ハロウィン”と接触することにします。

成り行きで、白雪姫ギフトゲーム『ヒッポカンプの水上騎手』で勝負することになった焔たち。彩鳥は久々に愛馬ヒュトスと再会します。デッドヒートするギフトゲーム。鈴華のギフトも活用して堅実にゲームを進めますが、突如稲妻を帯びた大戦斧が投げつけられ、ミノタウロスが参戦。さらに天の牡牛も出現し、アンダーウッドの内部へ避難することになります。

天の牡牛からの避難民たちでごった返すアンダーウッド。ミノタウロスの襲撃により負傷した鈴華は第三種星辰粒子体のサンプルにより回復。焔は”クイーン・ハロウィン”からの招待に応え、女王と面会することになります。

焔たちに置いて行かれた十六夜は、御門釈天と合流。孤児院近くのフランス料理店”ドン=ブルーノ”を訪れます。更に、御門が現世で立ち上げている会社の社員、地母神プリトゥも合流して、葛飾区の柴又帝釈天へ向かいます。

太陽の星霊”クイーン・ハロウィン”。女王はゲームクリア後は焔たちを元の世界へ帰すことを約束し、十六夜との電話を接続します。焔と十六夜は、”天の牡牛”が自然界の力とは別に発生源を持っていること、西郷焔の父親の論文を手に入れた誰かが存在していることを知ります。

太陽主権をめぐる戦争

第二部から主人公的なポジションとなった西郷焔。第一部の主人公である十六夜と共に、箱庭の太陽主権戦争に巻き込まれます

太陽主権と焔の開発している第三種星辰粒子体との関係や、焔がなぜ”クイーン・ハロウィン”に選ばれたかなど、まだまだ分からないことも多いですが、一部のキャラクターたちも多く登場してきていますし、今後が楽しみな第二部のスタートだったと思います。

ただ、第一部を読んでいないと分からないことが多かったですので、まだ問題児たちが異世界から来るそうですよ?を読まれていない場合は、先にそちらを読まれることをオススメします。

ギフトゲーム詳細

『第二次太陽主権戦争 招待状』

拝啓、西郷焔様。

貴方は箱庭の世界で行われる”第二次太陽戦争”への参加資格を得られました。本選参加資格を得る為に先ずは”黄道の十二宮”、”赤道の十二辰”に属する星獣を一匹以上使役してください。

目標討伐星獣”金牛宮

勝利条件①:金牛宮”の化身の討伐

勝利条件②:雷光を掻き消し、星を在るべき姿に戻せ。

※ルール概要・開催時期

此方は予選ゲームとなりますので、開催期間は七年間とさせていただきます。七年が過ぎ去ると自動的にゲーム敗退となります。誰が討伐しても西郷焔様が討伐したことになりますので、遠慮なく協力者を募ってください。

※注意事項

この参加枠は西郷焔様に第二次太陽主権戦争に参加していただく為に設けられた特別参加枠です。もしも参加を棄権・無視、或いは予選敗退された場合は西郷焔様が保有している特別参加枠、及び固有の恩恵”千の魔術”を回収させていただきますのでご容赦ください。

尚、開催期間中は箱庭から出られませんのでご注意ください。延長については考慮しますが、なるべく期間内に全ての攻略条件をクリアするようお願いします。

TIPS

《天の牡牛》

天の牡牛(グガランナ)はギルガメシュ叙事詩に登場。古代メソポタミアの文学作品で、実在していた可能性のある古代メソポタミアの伝説的な王ギルガメシュを巡る物語。人間の知られている歴史の中で、最も古い作品の1つ。

グラガンナとは、自分を振ったギルガメシュを殺害しウルクごと滅ぼすため、イシュタルがアヌを脅して造らせた「天の牡牛」と呼ばれる巨大な獣。「7年間の不作を招く」「これを殺したら死刑」と言われる聖なる神の遣い。大量の油が入った青玉石の角を2本持っています。シュメール語で言う「天の牡牛」という呼称は牡牛座を構成する星の名前に対しても用いられており、シュメール名と言うこともあってその名の成立は叙事詩よりもごく古い時代のものであると言われていますが、牡牛が神話として登場する例は叙事詩の基礎となったシュメール語版の断片にしかなく、「天の牡牛」が神話化するに至ったプロセスは不詳とされています。

《エヴリシングカンパニー》

第二次世界大戦後まもなく西欧で立ち上がった、世界でも五指に入る大商社。電子機器や医療・美容薬品、エネルギー開発など手広く取り扱っている世界的な大企業で、西郷焔の父親が作り出した技術の委譲と完成サンプルの解析を条件にカナリアファミリーホームに出資しています。

天然痘

黒死病スペイン風邪に匹敵する死者を出したウイルス。空気感染だけでなく肌にできた膿に触れるなどの接触感染でも広がり、致死率は40%を超えます。日本では伊達政宗が片目を天然痘によって蝕まれたという逸話もあります。

なお、天然痘の撲滅には牛痘ウイルスによって抗体を作り出す方法を使用。

ミノタウロス

エーゲ海に浮かぶクレタ島という場所に伝わるギリシャ神話の怪物

当時クレタ島を治めていた王は、海神ポセイドンから一匹の美しい牛を貸し与えられたが、海牛の美しさに海神との約束を違え、神の逆鱗に触れてしまいます。海神は王妃に呪いをかけて、海牛に恋をするように拐してしまい、海牛との間に半人半牛の怪牛を産むことになります。

王妃の産んだ子供は”アステリオスという名を与えられますが、のちに改名してミノタウロスと呼ばれます。その後、王の勅命で迷宮に幽閉されたミノタウロスは、英雄テーセウスによって討たれ伝説は幕を引きます。

《夜叉ヶ池》

泉鏡花が1913年(大正2年)に発表した戯曲。彼が初めて著した作品で、『演芸倶楽部』に発表されています。 夜叉ヶ池の龍神伝説を題材としており、ゲアハルト・ハウプトマンの『沈鐘』が元ネタといわれています。澁澤龍彦の解説で、岩波文庫天守物語とともに収載されています。

 

以上、1巻についてネタバレレビューさせていただきました。

今回も長文をお読みいただきましてありがとうございます。

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