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《内容ネタバレ》「問題児たちが異世界から来るそうですよ?」8巻をレビュー!!

竜ノ湖太郎先生の問題児シリーズについて、8巻をレビューしていきます!

問題児たちが異世界から来るそうですよ?」~暴虐の三頭龍~について、内容のネタバレと考察をしていきます!

※8巻のネタバレを含んでいますので、ご注意ください。

問題児たちが異世界から来るそうですよ?  暴虐の三頭龍 (角川スニーカー文庫)

8巻内容ダイジェスト

魔王アジ=ダカーハと単騎で戦う十六夜。黒ウサギを庇った際の傷が動きを鈍らせる中、アジ=ダカーハは分身体である双頭龍を生み出し、撤退した”ノーネーム”の仲間たちを追撃させます。焦る十六夜は第三宇宙速度を凌駕する拳撃を繰り出し、巨龍を葬った極光の柱を振り下ろすも、魔王には通用しません

”煌焔の都”は瓦礫の山河となりました。アジ=ダカーハの巻き起こした竜巻により戦場はひっくり返り、魔王連盟との戦闘は一時中断。飛鳥はディーンの内部に匿われることで難を逃れました。アルマ、黒ウサギ、耀と合流し、アジ=ダカーハが”人類最終試験(ラスト・エンブリオ”と呼ばれていることを知ります。

突如、飛鳥たちを分身体である双頭の龍が襲撃。耀は”大鵬金翅鳥”を”生命の目録”で再現し双頭龍と相まみえ、殲滅に成功。しかし無理なギフトの使用により、”生命の目録”が力を失ってしまいます。また、飛鳥も”神殿構築”によりアルマと連携して双頭龍を撃破しますが、十六夜の戦闘には介入できず、自身の無力を噛みしめながら撤退します。

リンは、”星海龍王の角”、”赤道の十二辰「龍」の宝剣”、”疑似創星図”の三つを煌焔の都から略奪し、”ウロボロス”として十分な成果を上げます。更にマスクウェルをウィラの元へ向かわせて邪魔者をなくし、ジンとの交渉の続きを始めます

自身の攻撃がアジ=ダカーハに通用せず、満身創痍となった十六夜は敗北を認めます。ただ、アジ=ダカーハの目的を聞かずして負けることを許容できない十六夜は、三頭龍を糾弾。三頭龍は、自身が勧善懲悪の”悪”として存在していること。”三頭龍の屍の上こそ正義である”という矜持で、破壊を行っていることを十六夜に伝えます。

己の生で悪を示し、己の死で善を築く。

アジ=ダカーハの抱く不退転の教義を知らされた十六夜は、最後に己の全身全霊を握りつくして、三頭龍へと突撃します。

〈以下、短編集〉

異邦人のお茶会

巨龍を倒してから一週間が経つ頃、耀は十六夜にヘッドホンの件について謝罪。そのまま飛鳥も交えて、それぞれの元の世界について情報交換をすることに。”自分の時代の生活感”をテーマに、飛鳥は女子寮時代を、十六夜金糸雀との世界旅行の話をします。また耀は、”猫耳ヘッドホン”が世界的に流行していたことを話しました。

リリの大冒険

収穫祭にて黒ウサギへのプレゼントを考えるリリ。とある路地裏の露店で、偶然素敵なブローチを見付けます。

ブローチの購入にはギフトゲームをクリアしなければならず、十六夜たちに相談するリリ。翌日、露店を皆で訪れ、”契約書類”を確認する十六夜たち。

ギフトゲームの回答について考えるメンバーをよそに、リリは単独で露店を訪問。人形の”コッペリア”と知り合い、ブローチを譲ってもらえることに。しかし、そこに天災の魔王”退廃の風”が現れます。

十六夜は”退廃の風”を退けるため、ギフトゲームをクリアすることに。回答である”第三永久機関”を神珍鉄を活用して疑似再現することで、”退廃の風”を退けます。

敵がカッコイイ物語は面白い

前巻のラストで登場した”ラストエンブリオ”である魔王アジ=ダカーハ。単に強いだけでなく、ゾロアスター教の”悪の根源”という自身の使命を背負い、矜持をもって悪を成している姿カッコよさを感じました。

敵役が矜持のない小物だったり、ただ残虐なだけの敵では感じることのできないキャラクターの奥深さを、アジ=ダカーハからは読み取れます。

勧善懲悪の物語を読む際、敵を”救いようのない悪”として描いているものは多くありますが、本作のように”必要悪”を突き詰めた敵キャラクターも非常に魅力的でした。本作に限らず、魅力的な敵が出てくる作品は、間違いなく面白い名作だと思います。

TIPS

《アヴェスター》

アヴェスターとは、ゾロアスター教の根本教典のこと。

口承伝持で長らく伝えられた後、3世紀頃に発明されたアヴェスター文字で書物に記されました。しかし、イスラム教の迫害などを受けて散逸し、現存するテキストは、当時の1/4に過ぎないそうです。

《虚星・太歳》

太歳は中国神話において”災いの凶星”とされる魔王・太歳星君を指します。その正体は木星の逆位置に仮想された、実在しない虚構惑星の星霊。”赤道の十二辰”において木星は天体分割法の基準となる聖なる星とされ、歳星と呼ばれています。また、”黄道の十二星座”でも木星は天体術の基準とされ、ゼウスの半身であるとされていました。

対して太歳は三面六臂の姿や、鯰様の龍の姿をもつ星霊として有名

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