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オーバーラップ文庫「異世界魔法は遅れてる!」シリーズの魅力をご紹介!!

オーバーラップ文庫「異世界魔法は遅れてる!」シリーズの魅力についてご紹介!

基本的にネタバレなしで記事を書かせていただきますので、未読の方も安心してご覧になってください。

異世界魔法は遅れてる!って?

異世界魔法は遅れてる!1 (オーバーラップ文庫)

著者:樋辻臥命

イラスト:himesuz

「――魔術師、八鍵水明。全ての理に辿り着くことを志す現代の神秘学者だ」
現代に生きる魔術師である八鍵水明は、突如現れた魔法陣によって友人とともに異世界へ転移してしまう。
だけど勇者として呼び出されたのは友人で、自分はそれに巻き込まれただけ!? しかも帰る方法がわからない!?
水明は魔王討伐の旅に同行することを断り、ありとあらゆる現代魔術を駆使しながら、もとの世界に帰る方法を探しはじめる――。
圧倒的な現代魔術と未知の異世界魔法が交錯する、「小説家になろう」発の大人気異世界ファンタジー、開幕!!

厨二心をくすぐる主人公

本作の主人公は、現代にいた時から魔術結社に所属し、社会の闇で暗躍していた魔術師の八鍵水明

彼には元々人生をかけて成し遂げなければならない目的がありました。そのため、元の世界よりも数段遅れた魔法を使用している異世界を救っている暇などなく、自身の能力を隠しつつ、最優先で帰還の方法を探す必要があったのです。

普段は修行もさぼって、異世界の本ばかり読みふけっている昼行燈。しかしその正体は、異世界の魔法使いが束になっても敵わない最強の魔術師。そんな、あざといくらい厨二心をくすぐってくる主人公を楽しむことができる作品です。

クドくて意味不明でも何故か面白い

文章はたまに文法的におかしいところがあったり、序盤の水明や王国の人々のキャラクター設定もちょっと違和感を覚えたりしますが、何故か続きを買ってしまう面白さがあります。

「主人公が本当は強いことを殆ど誰も知らないドキドキ感」「本気を出した時の水明の魔術の厨二的カッコ良さ」「ちょっと情けないけど魅力あるヒロインたち」など、物語の基本コンセプトに魅力的な部分が多いため、マイナス部分を打ち消してしまっているのだと思います。

少しネタバレになりますが、主人公の得意魔術は"流星落"。「惑星の力である星気や、人間の内に眠る未知覚の力の座ーーブッディ。それらと意を同じくする、パラケルススの残したエンスアストラーレの言葉と共に顕現する大魔術」と本文で語られています。

正直、何が書いてあるのかサッパリですが、流星が落ちてくる綺麗で壮大なカッコイイ魔法のため、流して読めてしまいます。一応以下に各用語の説明を書かせていただきますが、説明を読んでも分からなかったです…。

《ブッディ》

インドのサーンキヤ学派の25の原理の一つ。身体の中の一器官としての根源的思推機能。確認の作用を本質とする。

パラケルスス

スイスの神秘思想家。悪魔使いという説もある。当時の主流であったスコラ哲学的解釈に対して自然の直接の探求を主張し、大宇宙と小宇宙(人間)の照応を基盤とする統一的世界観を、崩壊した中世農民世界の断片から形成することを目指した。

《エンスアストラーレ》

パラケルススが人間の欲望体または恒星体を示すのに使用した用語。この領域は古代アカーシャに相当する星気体に満ち満ちていて、パラケススのエンスは星に繋がる。

主人公の強さと爽快感を味わう作品

前項までで、主人公の厨二臭さや魔術設定の難解さをご紹介しましたが、結局のところ本作については「普段実力を隠している主人公が、クライマックスで俺TUEEEする爽快感」が最大の魅力になります。

主人公が何となく好きになれない方や、厨二臭さ、難解な設定が好きになれない方などは本作は合わないかもしれません。

ですが、もし気になった方は、是非1巻を手に取っていただければと思います。

今回も長文をお読みいただきましてありがとうございます。