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《内容ネタバレ》ガガガ文庫「友人キャラは大変ですか?」1巻!レビューと合わせて特集します!

ガガガ文庫「友人キャラは大変ですか?」1巻について、内容のネタバレありでレビューさせていただきます。

ネタバレなしの紹介記事をご希望の場合は、以下の記事をお読みください。

tino-review.hatenablog.com

友人キャラは大変ですか?って?

友人キャラは大変ですか? (ガガガ文庫)

著者:伊達康

イラスト:紅緒

俺の友達、火乃森龍牙は“本物の主人公”だ。まず、こいつは過去をほとんど話さない。で、授業をよく抜け出す。帰ってきたかと思えば、唇から血を流してたり、制服が破けてたりする(世界の敵とかと戦っているんだろう)。そして、龍牙の周りには常に誰かしら美少女がいる。そんなときは俺の見せ場だ。「おいリューガ!どうしてお前が雪宮さん(美少女)と知り合いなんだよ!」無駄に騒がしく龍牙の日常を彩る―それが“友人のプロ”たる俺、小林一郎の生き様だからな!ベストフレンダー小林がおくる最強助演ラブコメ、爆誕!!

1巻内容ダイジェスト

物語の脇役、主人公の「友人」というポジションにこそ自分の価値があると信じる小林一郎。彼は多くの主人公的存在をプロデュースし、友人キャラとして研鑽を積んできましたが、未だ自身が満足できる主人公には出会えていませんでした。その後、高校で「主人公の中の主人公」火乃森龍牙と出会った小林は、友人キャラになるべくアプローチを開始し、無事その地位を手に入れます。

実は世界を守るために怪物と戦うヒーローである龍牙の「日常パート」を守るため、小林は今日も元気に龍牙の「友人キャラ」として騒ぎます。

その後も、プロの友人として涙ぐましい努力(ヒロインのサポート、龍牙のラキスケ手配、戦闘パートの邪魔はしない)を続けますが、彼の願いとは裏腹に友人ポジションはみるみる崩壊していきます。

ヒロインキャラとのフラグは乱立し、実は龍牙は女の子だったという知りたくない秘密も知ってしまい、果ては小林自身も「お前は何者だよ!」な展開へ。

正体を知られた龍牙は「修行」という建前で小林の彼女(仮)となり、コスプレしてイチャイチャしてきます。もはや完全にヒロイン。スカした龍牙はどこかへ消え失せ、残ったのはナース姿の美少女ヒロイン龍牙ちゃん

小林が自分のキャラを見失っていると、龍牙の妹の杏花を器として「魔神」が復活してしまいます。色々勘違いしながら小林も奮闘し(←ここが一番面白いポイント)、無事に「魔神」を倒すことに成功します。しかし、魔神の攻撃から龍牙をかばった小林(実は無傷)は入院することに。

エピローグで、実は魔神が四体存在していることが分かり、小林がその内の一体「トウテツ」の器であることが判明。友人キャラに戻ることが困難な状況を嘆きながら、1巻は終了となります。

小林から目が離せない!

小さいころからプロの友人キャラであろうとする小林。しかし、モノローグで彼が自身の歴史を振り返ると、ツッコミどころが満載でした。
沖縄サッカー少年石田くんの場合、彼を翼くんとすると、小林は岬くんのポジション。運動神経は普通なんじゃなかったのかとツッコみたいのを我慢しつつ次を読むと、山下くんに対してマッチポンプ式恋愛支援をしたり、不良の渡辺くんが学校のボスになれるよう強いライバルを小林が裏で殲滅したり、生徒会長に勉強を教えて学年トップにしている小林がいたり…。「いや、お前の方が実はスペック高いんじゃん!?」とツッコんでいたところで、現在の主人公龍牙と出会います。
もう序盤のこの時点で、小林がただ者ではないことは明らかになってきますし、読者も小林から目が離せなくなるはずです。こいつ、何でこんなに主役キャラなのに友人キャラを目指してしまったんだ?と。
特にクライマックス付近で、ヒロインズを龍牙のもとへ向かわせるため、普通に使徒を殴り倒し始めた小林には大笑いしました。小林強すぎ!

自身の正体について予想する「小林」が面白い!

タイトルやあらすじの内容では、小林はプロの友人だったはず。ですが読み進めるについれて友人キャラは崩壊していってしまい、自身は何者なのか真剣に悩むことに。
小林は様々な情報を踏まえて自身の正体を予想しますが、その予想が読者側も納得しやすく共感できるので、小林と一緒に彼の正体を模索する感覚になります。小林が自身が実はラスボスなのかもしれないと疑えば、読者もそれまでの描写から「もしかして…」と疑い。でもすぐに違うと分かり、小林と一緒に「じゃあいったい何なんだよ!?」とツッコんでしまいたくなる心理に。
一番笑ったのは、クライマックスで自身を玄武と勘違いしたシーンです。玄武と勘違いして突っ込んだあと、本物が遅れて登場する場面では、「玄武ちがうのかい!?」と心の中でツッコんでしまいました。
小林が何者なのかを小林と共に探っていくと、格ゲーの空中ハメ技コンボをくらうような笑いの連撃を受けることになります。面白さがヤバいです。

ヒロインよりも小林を好きになってしまう作品

ここまで1巻の面白さを書きましたが、本作の面白さはほぼ小林に詰め込まれてしまっています。他のヒロインズも確かに魅力なのですが、あくまで面白すぎる小林のチヤホヤ要員と言いますか…。
剣士の蒼ヶ崎怜やバンパイヤのエルミーラ、奈落の三姫ミオンは地味にキャラ立ちの片鱗を見せてきていますので、2巻以降の活躍で記事にしたいと思います。久々に「このすば」のカズマと同じくらい、面白くて笑える主人公キャラを見た気がします。

 

本作1巻はとても楽しい作品でした!もしまだお読みでない方でこの記事を見られた場合は、是非購入して読んでみてください。とても面白いですよ!

今回も長文をお読みいただきましてありがとうございます。