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GA文庫9月新刊「我が驍勇にふるえよ天地」!作品紹介とレビュー!!

9月15日に5巻が発売された「我が驍勇にふるえよ天地」シリーズ!

正統派戦記ライトノベルである本作の魅力を紹介しつつ、5巻までをレビューしていきます!!

我が驍勇にふるえよ天地って?

著者は聖剣使いの禁呪詠唱で有名なあわむら赤光先生。本作は「聖剣使いの禁呪詠唱」とは全く雰囲気が異なり、先生の新たな一面が見られる作品となっています。

我が驍勇にふるえよ天地5 ~アレクシス帝国興隆記~ (GA文庫)

著者:あわむら赤光

イラスト:卵の黄身

2016年に1巻が発売された本作。GA文庫から戦記小説が出るのは殆ど初めてなのではないでしょうか?レーベル的には非常に珍しいジャンルへの挑戦となっています。

 

本作では魔法やチートスキルの持ち主などはおらず、基本的には大軍対大軍が戦略と戦術を駆使して戦う世界観となっています。

主人公は皇帝と庶民の間に生まれた子供で、庶民の血を引いていることを理由に不当な扱いを受けていました。しかし、母親の死後、武勇と知略に優れた侯爵夫人の叔母に預けられてからは技と兵法を学ぶ機会に恵まれ、次第に武勇で頭角を現していくことになります。

主人公が15歳になるころ、叔母の治めていた領地が敵国の侵略を受け、更に味方の奸計により戦況が悪化。自国の貴族の腐敗が原因の出来事でした。主人公が自身の率いる部隊と共に敗走しているところから、この物語は始まります。領土を奪われ、更に尊敬していた叔母は戦死。そんな絶望的な状況から、主人公が仲間たちと再起を図り、立身出世していきます

 

主人公とヒロインについて

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主人公のレオナートは無口で不器用ながら非常に武勇に優れており、高い戦闘能力を持っています。金属製の鎧を切り裂いてしまう程の武勇で、一騎打ちでは負ける要素は殆どないレベルに感じます。他の作品で例を挙げると火の国、風の国物語」の主人公アレスとよく似た印象です(アレスは精霊との契約で身体が強化されていますので、厳密には違いますが)。

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また、ヒロインの銀髪美少女シェーラは叔母であるロザリアも認める才女であり、レオナートに好意を寄せています。シェーラは「伝説伝承(フォークロア)」を利用した人の心を掴む献策を中心にレオナートを支えます。

 

最新刊のあらすじとレビュー

※以下、ネタバレを含みますのでご注意ください。また、作品未読の方でも分かりやすいように書いていきますので、興味があればご覧ください。

叔母の領土を奪った敵国アドモフの知将レイヴァーンとの決着巻。前巻で河を挟んで対峙していた両軍。レイヴァーンの毒を使った策略により、レオナート側の軍(レオナートとシェーラは不在で、友人のアランが総大将)は撤退戦を強いられることに。

レイヴァーンの容赦のない追撃により、壊滅的な被害を受ける味方の軍勢。そんな中、強行軍でレオナートが戦場に合流し、戦力を温存していたトラーメを引き連れて敵軍へ急襲をかけ、戦況を立て直すことに成功します。そして最終決戦の城塞都市リントでの戦いへ。

城塞都市リントに籠城するレオナートたちと、攻めるアドモフ軍。レイヴァーンはレオナート達への補給が届かないように、貴族たちへ謀略をしかけていました。叔母のロザリアが敗れた際も味方貴族からの補給が途絶えたことが最大の原因だったため、同じような展開へとアドモフ軍は持ち込もうとします。

ですが、シェーラはこの敵側の動きも予測しており対処。更にレオナートは、先の作戦で失敗したアランを許すことで、尊敬する祖母の教えをしっかりと受け継いでいることを家臣たちにアピール。古参の家臣を中心に戦意向上し、アドモフ軍の侵攻を防ぐことに成功します。

ラストは白旗を掲げたレイヴァーンとレオナートが対面。そこでレイヴァーンはレオナートに対して驚くべき要求をします。

「貴軍と同道と共闘を要請したい!」

「謝礼は弾もう!アドモフ一国、御身に差し上げるーーーアレクシス候!」

※アレクシス候=レオナート

次巻からは、レイヴァーンとレオナートの共闘がみられるかもしれません。

 

以上、5巻のあらすじをまとめさせていただきました。

レイヴァーンは強敵で一度はピンチに陥りますが、結局はレオナートとシェーラの活躍で挽回するといういつものパターンでした。戦記物は敵側が弱すぎると冷めてしまいますが、本作は敵側もある程度の強さを見せますので、逆転した時の爽快感はそこそこ感じることができます。

ただ、どうしても展開がワンパターン化してしまいます。今回アドモフ屈指の知将レイヴァーンが敗れたことで、また強敵と呼べる存在がいなくなってしまいました。レオナートやシェーラの魅力を更に出していくには、強大な敵が足りていない印象。次巻以降で強敵が沢山出てくるといいなぁ~と、期待しています。

5巻で第一部が終わったような印象です。是非興味が出た方は、お試しいただければと思います!