〈あらすじレビュー〉ガガガ文庫「弱キャラ友崎くんLv.5」!!
5巻のあらすじについてレビューさせていただきます。
弱キャラ友崎くんって?
著者:屋久ユウキ
イラスト:フライ
強キャラの弟子ができました。
教室での一件を受けて、まさかの師弟関係と相成った俺とたまちゃん。表情、姿勢、喋り方。俺は師匠として、自分が『リア充』になるために重ねてきた努力とノウハウを、たまちゃんに伝えていく。一方、日南は日南で、裏でなにやら動いていて――。相反する考え方で問題に向き合う俺たちは、やっぱり協力はできない。でも、『大切な目的のためなら、自分を曲げるのも辞さない』こと。この戦い方はきっと、俺が誰かさんに教えてもらったことなのだ。
――大人気人生攻略ラブコメ、待望の第5弾!
紺野と花火の問題の解決方法は?
前回のエピソードの終盤、クラスメイトが紺野エリカに嫌がらせされていたのを花火が注意したことで、紺野のターゲットが花火へと移ります。紺野が嫌がらせをする度に強く反抗していた花火ですが、次第にクラスの空気が花火を”悪”として捉えだすように変化していきます。
今回の問題について、解決方法は三つ。一つ目は、紺野エリカが花火の抗戦に屈するパターン。二つ目は、花火が反抗するのを我慢して、空気が好転するパターン。三つ目は、クラスの空気を紺野が”悪”だという方向へ決壊させるパターン。
花火の親友のみみみは、一つ目のパターンを目指して花火をケアし、日南は暗躍して三つ目のパターンを目指します。そんな中、花火は親友のみみみを悲しませないため、自分に似て”思ったことを口にしてしまうタイプ”の友崎に、人生のルールを教えて欲しいと依頼します。
リアルに近い”嫌がらせ”エピソード
本作で描かれている、紺野が花火に仕掛けている行為は、実際の高校生活でも起こりえそうな、ちょっとした”嫌がらせ”です。その行為の上に、クラス全体が花火を責めるような空気感が加わることで、”いじめ”に発展しかけている今回のエピソードは、とてもリアリティがあり、その解決方法が気になります。
他の作品でも類似のエピソードが描かれ、様々な解決方法が取られています。人生を神ゲーと評する日南や、成長してきた友崎が、今回のエピソードにどのような解決方法を選択をするのかが楽しみです。
以上、「弱キャラ友崎くんLv.5」のあらすじレビューを書かせていただきました。
長文をお読みいただきまして、ありがとうございます。
〈あらすじレビュー〉ガガガ文庫「俺の立ち位置はココじゃない!」!!
ガガガ文庫新作「俺の立ち位置はココじゃない!」!
あらすじ等から作品についてレビューします。
俺の立ち位置はココじゃない!って?
著者:宇津田晴
イラスト:おしおしお
姫様系男子と王子様系女子のマリアージュ!
かわいらしい顔と低めの身長が愛らしい少年・須永公平。彼は「カッコイイ男(≒王子)」を目指して、高校デビューを目論んでいた。ところがどっこい、受かった先の高校で、いかにも王子なイケメン女子・新海光瑠にであってしまう。勝手に彼女をライバル扱いする公平だったが、その少女もまた、かわいいと思われたいのに王子扱いされてきた、可哀想な過去があり……?
カッコイイ男になりたい「姫系男子」と、可愛い女の子になりたい「王子系女子」。二人の報われない少年少女が織りなす、立場入れ替え系残念学園ラブコメディ!!
姫系男子と王子系女子の学園ラブコメ
お互いに自分が求めている要素を持った男女が、惹かれ合っていくというストーリー。自身の外見と目標とのギャップで苦しんでいる者同士のため、お互いを理解し合えれば、自然と意識し始める組み合わせとなっています。
ストーリーが展開していく中、姫系男子がどんなカッコ良さを見せ、それに対して王子系女子がどんな可愛さを見せてくれるのか、”ギャップ”が楽しみな作品です。
女性向けレーベルからの転向作
本作の著者である宇津田晴先生は、ルルル文庫で少女向けライトノベル作品を多数刊行されています。「ご主人様なシリーズ」では、騎士でカッコイイ女性主人公を描かれており、今回の王子系女子もどのようなキャラクターなのか、楽しみになります。
また、女性向け作品を執筆されていた先生ですので、従来の男性向け作品にない描写や切り口などが楽しみな作品でもあります。著作のレビューを見ると、伏線は多用されず、ストレートな表現をされる先生とのこと。男性読者は割とストレートな表現を好む印象がありますので、相性は良さそうです。
以上、「俺の立ち位置はココじゃない!」のあらすじなどからレビュー記事を書かせていただきました。
面白そうな作品なので、管理人も購入する予定の新作の一つです。
気になった方は是非、手に取ってみていただければと思います。今回も長文をお読みいただきまして、ありがとうございます。
〈試読レビュー〉GA文庫「変奏神話群 剣風斬花のソーサリーライム」!!
GA文庫新作「変奏神話群 剣風斬花のソーサリーライム」!
公式の試し読み部分について、レビューさせていただきます。
変奏神話群 剣風斬花のソーサリーライムって?
著者:千羽十訊
イラスト:桑島黎音
英霊の武器で神話を超える、王道バトルアクション!
終末より十二年、世界の半分は異世界に侵蝕されていた――。侵蝕現象《イクリプス》によって現れるドラゴン等の幻想種に対抗するため、魔術士連合、騎士団、錬金ギルドが表舞台に姿を現す。その魔術によって伝説を再現する武具、再現武装が、敵への対抗手段となっていた。
大戦時の英雄である混成部隊に倣い、設立された戦術学院《高天原》。そこに現れた魔眼を持つ少年、桜河奏示郎。魔術士連合の切り札の少女、フィオレンツァと彼の出会いが、最も新しい伝説となるのか――。「……もう仕舞いだ、殺しにかからせてもらう」英霊の武器で神話を超える、王道バトルアクション!
ポストアポカリプスから復興が進む世界
本作は、第一次異界迎撃戦と呼ばれる戦いにより崩壊した世界が、徐々に復興を始めた時代。戦争で最も大きな戦果を示した第06混成部隊に倣って、全陣営の戦力を統合した舞台を作り出すための学園が設立され、国が更なる異界からの侵食に向けて準備を整える中、主人公の奏示郎が学院と宿舎へやってきます。
試読部分では描かれていませんが、魔術などを通じて顕現する”英霊の武器”を用いて、異界からやってくるドラゴンなどの幻想生物と戦う学園異能バトル系作品のようです。
主人公の能力とフィオレンツァの役割
主人公の奏示郎は、江戸っ子気質の老成した口調を持つ青年。魔眼を持ち、フィオレンツァの叫び声を”視覚的に”捉えることができるようですが、その能力は不明です。
プロローグで戦争を戦い抜いている14歳の少年が奏示郎だとすると、若くして戦いに身を投じる背景があったキャラクターなのだと思われます。ドラゴンなどとも交戦経験があるようですので、彼も”第06混成部隊”の構成員だったのではないでしょうか。
本作のコンセプトが、英霊の武器を用いて幻想生物と戦うところにあるため、彼も何らかの武器を持っている可能性があります。武器は魔術を応用して召喚されるようですので、主人公が宿舎で出会うフィオレンツァが、彼に優れた武器を与える役割を持っているのかもしれません。
美麗なイラストで彩る王道学園バトル作品
戦闘のエキスパートである奏示郎と、魔術を用いて強大な英霊の武器を召喚することのできるフィオレンツァが協力して、異世界からの幻想生物と戦う物語だと予想。”英霊の武器”という、FGO等のゲームが好きな層に好感度が高そうな設定を盛り込み、時流をつかんだ作風になっていると思います。更に、美麗なイラストが物語を彩っており、非常に内容が気になるパッケージになっています。
ただ、”英霊の武器”以外はセオリー通りの王道的な内容であり、少しインパクトに欠けているような印象もあります。このような作品の場合、完成度は高いのですが、印象が薄くてすぐに内容を忘れてしまいがちになるので、中盤から後半で独自性のある展開や設定が出てくるかどうかが、評価を分けるポイントになるかと思います。
以上、「変奏神話群 剣風斬花のソーサリーライム」について、試読レビューを書かせていただきました。
今回も長文をお読みいただきまして、ありがとうございます。
〈試読レビュー〉GA文庫「3年B組 ネクロマンサー先生」!!
GA文庫の新作「3年B組 ネクロマンサー先生」!
公式の試し読み部分について、レビューさせていただきます。
3年B組 ネクロマンサー先生って?
著者:SOW
イラスト:がおう
ネガティブ&性悪すぎて、逆に名教師!?SOW先生、GA文庫参入作!!
「というわけで、俺を魔王軍に入れてくれ! そして人類を滅ぼそう!!」 暗黒式魔導師クトゥーは勇者の仲間だったが、 その女勇者レティシアにフラれたショックからパーティーを離脱。 そのまま魔王に直接リクルート!?
「それなら、君にピッタリの仕事があるんだよ~」 魔王は過激なクトゥーを持て余し、彼に与えた役職は、 気まぐれで創っちゃった学校の教師!! しかし、担当クラスは人類文化に憧れる落ちこぼれの低級魔族ばかり……
「お前らを人類廃滅の使徒にする! 」 「「ええ~っ面倒くさい人きたー」」 激ネガティブなクトゥーの腐りきった性根と型破りな授業が、 生徒たちの心を育み、彼らの才能をグングン伸ばす!? これは、後世に『闇統べる者』と讃えられし、 伝説の教師の授業記録である。
魔族の学園コメディ作品
本作の主人公クトゥー・アインデルセンは、暗黒式魔導を極め、勇者パーティーにも参加していた英雄の一人。ただ、暗黒式魔導の使い手は、道を究めれば究めるほど、人から全くモテなくなるという副次効果があるとのこと。
人生でぼっちを続けてきたクトゥーにとって、勇者レティシアは自身に唯一手を差し伸べてくれた最愛の存在。しかし、勇気を振り絞って告白した結果、玉砕してしまいます。
勇者にフラれた腹いせに、人類を滅ぼすことにしたクトゥー。魔王に直談判し、人類を滅ぼすための精鋭の育成にとりかかります。
クズだけど憎めない主人公
勇者にフラれてしまったことをきっかけに、人類を滅ぼすことを決意したクトゥー。クズですが、なんとなく憎めない可愛げのある主人公になっています。
何故か敵側である魔族の方に常識人が多く、理不尽でクズなクトゥーを、なんとか宥めようとしている姿はコミカルで面白いです。
彼が、常識のある魔族たちにどのような影響を及ぼし、どんな教師になっていくのか非常に続きが気になります。更に、口絵には、勇者パーティーの精霊魔導士ガルディナから生徒たちを守りつつ、ドラゴンゾンビを召喚するクトゥーも描かれており、興味をそそられます。
シリアス要素少なめの学園コメディファンタジー
世界観としては富士見ファンタジア文庫「ロクでなし魔術講師と禁忌教典」が似ていますが、本作の方が更にコメディ側へ寄せた内容になっています。
敵も味方も緩い性格に描かれており、角川スニーカー文庫「この素晴らしい世界に祝福を!」のような雰囲気をもった作品。また、主人公がクズ系というのも、「この素晴らしい世界に祝福を!」と似ている部分かもしれません。
今流行している要素が巧く組み合わされており、冒頭部分を読んだだけでも、間違いなく面白い作品であることが分かります。
以上、GA文庫新作の「3年B組 ネクロマンサー先生」について試読レビューを書かせていただきました。非常に面白そうな作品で、11月の新作ライトノベルの中でトップクラスのオススメ作品になる予感がします。
気になった方は、是非試読などで冒頭だけでも読んでみていただければと思います。
今回も長文をお読みいただきまして、ありがとうございます。
〈試読レビュー〉GA文庫「いつかのレクイエム case.1 少女陰陽師とサウル王の箱」!!
GA文庫の新作「いつかのレクイエム case.1 少女陰陽師とサウル王の箱」!
公式の試し読み部分について、レビューさせていただきます。
いつかのレクイエムって?
著者:嬉野秋彦
イラスト:POKImari
「箱」を巡り、魔術師たちが東京の夜を駆ける!
「何というか、実に……この国は無法地帯だな」 「居候のくせに、いつもいつも偉そうなんだから――! 」 西洋・東洋の魔術師たちが闇に潜みながら生きる現代。女子高生と陰陽師の二重生活をしているひよりは、同居人の『魔女術』使いレイジと共に行方不明になった父の遺した探偵事務所を経営していた。同業の女性魔術師、史鳳(シフォン)が受けた「箱を探して欲しい」という依頼に協力するひよりだ ったが、簡単だと思われた箱探しは、時を同じくして発生していた連続殺人事件とも繋がり、事態は思わぬ展開を見せることに――! ?
西洋と東洋の魔術が入り乱れる、ウィザーズバトルファンタジー、開幕! !
凸凹コンビの魔術バトル作品
冒頭から、ひよりとレイジは依頼主の囮となるべく、ベンツでの逃走中。敵の魔術師の使い魔を相手に魔術戦闘を繰り広げます。
主人公の鷺沼ひよりは、天台姫宮派に属する陰陽師。使い魔である三面頬(ケルベロス)を従えています。ただ、まだ陰陽師としては未熟で、探偵事務所の代表でありながら、レイジの助手的な立場となっている様子。
また、レイジは魔女術を用いる熟練の魔術師。実力は相当なもののようで、ひよりが苦戦していた敵の使い魔を、一撃で追い払ってしまいます。ニヒルな雰囲気を持つ、英国紳士です。
かつては、ひよりの父が経営していた「地蔵坂上探偵社」。探偵社に持ち込まれる様々な依頼を、ひよりとレイジのコンビが解決していく魔術バトル作品になっています。
本格的な魔術設定とバトルに期待
作品の世界観としては、角川スニーカー文庫「レンタルマギカ」の世界観が近いように感じる本作。「レンタルマギカ」のように、元ネタのある本格的な魔術設定が、作品の中に盛り込まれることを期待します。
更に、ひよりは陰陽師という設定のため、どんな術を持っているのかが楽しみです。陰陽師といえばHJ文庫「魔術破りのリベンジマギア」シリーズで描かれているように万能型の印象があり、魔女術を用いるレイジの相性が悪い敵に対しても、フォローが可能かもしれません。
また、レイジというクールな熟練魔術師が既に登場していることから、ジャンルは異なりますが、アニメ「DARKER THAN BLACK」のような迫力のあるバトルが中心の作品であっても、面白そうです。
イスラエル王サウルの”箱”とは?
初回は、同業の女性魔術師、史鳳(シフォン)が受けた「箱を探して欲しい」という依頼から、とある連続殺人事件へと巻き込まれていくという展開。サブタイトルの”サウル王”は、イスラエル王国の最初の王で、神に選ばれたとされる人物。彼の”箱”が”連続殺人事件”にどう繋がっていくのか注目です。
他にも、ひよりの父が行方不明となった経緯、魔術師レイジがひよりに協力する理由など、冒頭だけでも気になる要素が複数存在。物語の続きが読みたくなる新作となっています。
以上、「いつかのレクイエム case.1 少女陰陽師とサウル王の箱」の試読レビューを書かせていただきました。
魔術系作品として面白そうな印象を受けましたので、発売日が楽しみです。是非、興味を持たれた方は、お試しいただければと思います。
今回も長文をお読みいただきまして、ありがとうございます。
角川スニーカー文庫「6番線に春は来る。そして今日、君はいなくなる。」の魅力をご紹介!
角川スニーカー文庫新作「6番線に春は来る。そして今日、君はいなくなる。」!
ネタバレなしで魅力を紹介させていただきます。
※新作のため、内容ネタバレ記事は発売日の二週間後を目安に投稿予定です。
※試読レビュー記事は以下をご覧ください。
6番線に春は来る。そして今日、君はいなくなる。って?
著者:大澤めぐみ
イラスト:もりちか
『おにぎりスタッバー』の鬼才による、渾身の青春群像。
やりたいことが見つからず、漠然と都会を夢見る優等生の香衣。サッカー部のエースで香衣の彼氏のはずの隆生。香衣に一目惚れする学内唯一の不良・龍輝。ある秘密を隠すため、香衣の親友を演じるセリカ。4人が互いに抱く、劣等感。憧れ。恋心。後悔。あの駅で思いはすれ違い、一度きりの高校生活はとどまることなく進んでいく。「どうしてすべて手遅れになってからでないと、一番大事なことも言えないんだろう」これは、交錯する別れの物語。
四人の登場人物を複数の視点で描いた作品
本作には四人の高校生が登場し、香衣、隆生、龍輝、セリカの順で、それぞれの視点から物語が紡がれる群像作品です。
主観と客観の両方を読むことで、それぞれのキャラクターの意外な一面を知ることができ、”人間って面白いな”と思わせてくれる作品。表面上見えているものと、実際に本人が感じていることは全く異なるということ。また、少し自分から踏み出すことで、そのズレを減らし、お互いに分かり合えるということを実感させてくれる、青春の物語です。
作品全体に青春の刹那的な寂しさを感じるものの、高校生たちの真情と成長が綺麗に描かれており、非常に読み応えのある内容になっています。
一気に読ませてしまうストーリー
本作は、視点も時系列もバラバラに、四人それぞれの視点で物語が紡がれます。しかし、ストーリーは全て繋がっており、クライマックスのセリカのパートからエピローグまでは、読者側も読むのが止まらなくなるほどの引力がある展開になっています。
キャラクター、世界観及びストーリーは、リアリティはあるものの、セオリー範囲内の設定。しかし、ライトノベル読者向けに読みやすくしつつ、文章と表現力、作品の構成によって独自のテイストを生み出されており、青春系作品が好きな方は必見の物語になっています。
人間の複雑さと簡単さ
本作の中で描かれているテーマの一つに”人間の複雑さと簡単さ”があります。様々な感情により複雑に絡み合った人間関係が、ほんの少しのキッカケで大きく変化する様子が描かれており、リアリティを持った内容になっています。
簡単に変わってしまうからこそ、登場人物たちは、理想的な人間関係に憧れ、上手くできなかった過去の自分を後悔しています。彼女たちの感情の機微が丁寧に描かれており、青春時代の憧れ、後悔、恋心、劣等感などの複雑な感情を、色々な視点から感じることが出来ます。
以上、角川スニーカー文庫「6番線に春は来る。そして今日、君はいなくなる。」の魅力について紹介させていただきました。
未完成だからこそ魅力のある高校時代の青春を、登場人物の感情の機微含めて丁寧に描かれており、積極的にオススメしたい作品の一つとなりました。
興味を持たれた方は、是非お試しいただければと思います。今回も長文をお読みいただきましてありがとうございます。
《内容ネタバレ》「グランクレスト戦記」4巻をレビュー!!
富士見ファンタジア文庫「グランクレスト戦記」シリーズ!
4巻についてレビューさせていただきます。
※4巻のネタバレを含みますのでご注意ください。
※ネタバレを希望されない方は、以下の作品紹介記事をご覧ください。
4巻内容ダイジェスト
君主会議において和平の方針を固めた連合に対し、着々と戦力を強化する同盟。ヴィラールは、テオとシルーカに自身の領地へと戻るように指示します。
二人は領地経営を進めるため、巡察の旅に出ることに。旅の途中で無限回廊に閉じ込められるハプニングに遭遇するも、お互いの気持ちを確かめ合う良い機会となり、二人は唇を重ねます。
マリーネに従属を強制されたスタルクは、同盟を脱退してヴァルドリンドに対抗するも、混沌災害を利用した卑劣な戦法をとったヴァルドリンド軍に大敗。スタルクの大君主パーヴェルは、混乱の最中にマリーネによって直接斬り伏せられます。
さらにマリーネはダルタニア太守ミルザーへと接触。選帝候という餌に加え、マリーネ自身の身体を一夜限りで捧げることを条件に、ミルザーは同盟へ加わることを誓約します。同盟へと加入したミルザーはダルタニア太守サイードを殺害し、その地位を完全に我がものとした上で、マリーネへ協力することとなります。
マリーネは同盟の君主たちに対し、選帝会議の設立を提案。ノルド王エーリクを筆頭に有力な君主たちは、選帝候へと名乗りを上げていきます。連合側が無意味な和平交渉に時間を取られる中、同盟側は大陸統一のための下準備が着々と進みます。
大陸歴2013年8月17日、同盟へと加入したダルタニアの船団が、アルトゥークへと侵攻。ミルザーによって故郷を滅ぼされたマルグレットもヴィラールたちと合流し、戦闘へ参加します。激しい海上戦が繰り広げられ、双方に大きな被害を出しつつも、アルトゥーク側が勝利。しかし、ミルザーは未だ健在で、ダルタニア側にも十分な戦力が残っているため、予断を許さない状況が続きます。
大陸歴2013年8月20日、ハマーンのエドキア女王が”海の宮殿”でアルトゥーク沖に到着。アルトゥーク海軍は、”海の宮殿”を中心とした円陣で、ダルタニアの再びの侵攻を阻みます。
また、陸でもヴァルドリンド騎士団がアルトゥークへと侵攻。アルトゥークの救援に駆け付けたレガイア伯セルジュの奮闘もむなしく、城門を破られるのも時間の問題となります。そこへキルヒス王ソロンが救援に到着し、ヴァルドリンド兵を駆逐して危機を脱するも、キルヒス軍はヴァルドリンド騎士団の総攻撃を受けてしまいます。結果、キルヒス王ソロンはマリーネによって討ち取られ、聖印を奪われます。
大陸歴2013年8月28日、ノルド候エーリクの娘ウルリカが率いる大船団がアルトゥークへと侵攻。既にダルタニアとの海戦で疲弊していたアルトゥーク海軍は、”海の宮殿”も落とされ壊滅状態となります。マリーネは従属国のブルタヴァ、オゼールをそれぞれテオとラシックに奪われるも、ヴィラールを討ち取ってアルトゥークを制圧。大陸統一へ大いなる一歩を踏み出します。
アルトゥークを失った連合が迷走を始める中、テオとラシックは第三勢力を立ち上げることを決意。ただ、現状のテオの爵位では盟主として諸侯が認めない可能性があるため、一旦盟主をラシックに預けて旅に出ることになります。テオは故郷のシスティナの領主となった上で、第三勢力の盟主となるべく戻ってくることを約束し、シルーカを始めとする僅かな仲間を連れてシスティナへと向かいます。
”覚悟”がテーマのエピソード
連合が和平を選択したことで、マリーネに討たれる覚悟をしたヴィラール。同盟が大陸を統一するために、女であることを捨てる覚悟をしたマリーネ。第三勢力として、連合、同盟と渡り合っていく覚悟を決めたテオ。この三人以外にも、ヴィラールと添い遂げる覚悟をしたマルグレットなど、多くのキャラクターが覚悟を決めたエピソードとなりました。
それぞれのキャラクターが作中の世界を必死に生き抜いているように感じられ、非常に臨場感のある作品となっています。
3巻ネタバレレビュー